山本勘助の隊のあとを追って敵陣に攻め込んだ初鹿(はじかの)源五郎は三十余人をまんまるに備えて、武田左馬助を討ち取って勢いに乗る須田右衛門尉の軍勢にわめいて入った
縦横無尽に戦えば、須田勢はさっと左右に引き、源五郎が打って入るのを押し包んで攻め立てる
源五郎は少しも怖れず、北へ東へ巡ってはなで斬りに暴れまくり、須田勢の亀田丹後、木内萬作、進藤要人など十六人を討ってとる
須田勢の勢い少し緩めば、大将須田右衛門尉は激しく下知して、勢を新手に入れ替えて攻め立てる
さすがの源五郎も多勢に無勢、従士討たれるもの多し、中でも谷専九郎は、須田の家士赤尾源太兵衛に槍を合わせ、しばし戦えども突き殺される
瀬場平左衛門、塚本三左衛門、立岡新七ら皆乱戦の中に討死を遂げる
初鹿源五郎、奮戦に次ぐ奮戦で戦えども、ついに従士の姿消え去れば、今やこれまでと一そうの奮戦を成し、騎馬七騎、雑卒十ニ人を切り倒し、諏訪部次郎右衛門の勢、三十余人にとりこめられて討死する。
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