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ヒマとヒマシ油

2007-09-26 09:53:27 | 父の懐
ヒマシ油ってご存知ですか?ヒマシ油とは強力な下剤です.翻訳をしていたらちょうどヒマシ油の記事にぶつかりました.それで昔の事を思い出したというわけです.

小学5、6年の夏だったと思います.私の家族は平戸にいました.私は“ミナ”と平戸地方で呼ぶ巻貝に中りました.症状についてはあまり詳しく覚えてないのですが、熱中症も併発したような気がします.その時往診に来て下さったお医者様が私に“ヒマシ油”を飲ませたのです.その後下痢をしたかどうかは覚えていません.ただただ飲みにくくて、飲めなかったことだけを覚えています.飲み下すことが出来ないんです.

ヒマシ油を漢字で書くと「蓖麻子油」、これで正体がわかってきます.つまり「蓖麻」の子(種)の油!ヒマという植物をご存知ですか?言われてみればたいていの方は思い出にあると思います.畑や野原に、4、50センチの丈で、小さなラグビーボールよりちょっと丸い形をした棘のある種がついている草を.私が子供だった頃は何処にでもありました.その小さなラグビーボールが「蓖麻子」というわけです.

特攻隊の生き残りの父が教えてくれました.アメリカの経済封鎖による燃料不足を陸軍ではこの蓖麻子油を使って補おうとの研究計画があったそうです.蓖麻子油を燃料にして戦闘機を飛ばそうと.日本国内何処ででもふんだんに取れる蓖麻子でそれが実現していたなら、あんなに多くの方が南洋で犠牲にならずに済んだかもしれません.あの時の南下政策は、今のシーレーンの保安と同じです.昔も今も国民生活のライフラインは同じです.

父と娘の小さな会話でしたが、蓖麻子油のおかげで忘却という箪笥の引出しから出てきました.懐かしい父の顔が浮かびます.
コメント (5)
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