ライブ インテリジェンス アカデミー(LIA)

日本の伝統文化の情報を国内外に配信していくための団体です。 その活動を通じ世界の人々と繋がっていく為の広報サービスです。

たなごころで独り茶

2019-02-08 17:37:06 | 一茶庵「易社」
たなごころで独り茶。
雁が音を五煎まで淹れて味の変化を愉しむ。
急須にたっぷり雁が音をいれ、湯のみ1/3程度のぬるま湯を、
茶葉にできるだけかからないようにそろりと入れる。
一煎ごとにぬるま湯を減らす。味が一煎ごとに変わっていく。

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林和靖の"梅"の世界へ

2019-02-05 17:05:09 | 一茶庵「易社」
林和靖Ⅱ
素心という淹れ方で淹茶(えんちゃ)三煎まで淹れ、味の変化を楽しませてもらった。
淹茶を楽しむ合間に、お軸の梅から林和靖の “梅” の世界へと誘われていく。

前回の記事で紹介したお軸は、梅の枝ぶりが下向きに描かれている。
その意図は、林和靖の「山園小梅」の詩を理解したうえで描いているからこのような梅の画になるのだろう。
さらに、鶴の代わりに猪を描いているのが、またなんとも滑稽である。

山園小梅(さんえんしょうばい)に「疎影横斜水清浅」という一節がある。
“咲き始めて花もまばらな枝の影を、清く浅い水の上に横に斜めに落とし” という意味になる。
枝が垂れ下がり、まばらに咲く花の姿が水面にうつし出されている。
そして続く「暗香浮動月黄昏」が対句になり、月もおぼろの黄昏どきに、梅の香りがどこからとなく香ってくる。
姿は見えぬが梅の存在を感じさせる。
梅を愛する林和靖の、隠逸の悲哀を詠った詩の一節である。
素心で淹れた淹茶の渋味、苦味が、林和靖の隠逸の悲哀とかさなってくる。

山園小梅 林逋

衆芳揺落独嬋妍  
占尽風情向小園  
疎影横斜水清浅  
暗香浮動月黄昏  
霜禽欲下先偸眼  
粉蝶如知合断魂  
幸有微吟可相狎  
不須檀板共金樽 

いろいろな花が散ってしまった後で、梅だけがあでやかに咲き誇り、
ささやかな庭の風情を独り占めしている。
咲き初めて葉もまばらな枝の影を、清く浅い水の上に横に斜めに落とし、
月もおぼろな黄昏時になると、香りがどことも知れず、ほのかにただよう。
霜夜の小鳥が降り立とうとして、まずそっと流し目を向ける。
白い蝶がもしこの花のことを知れば、きっと魂を奪われてうっとりするに違いない。
幸いに、私の小声の詩吟を梅はかねがね好いてくれているから、
いまさら歌舞音曲も宴会もいらない。

下の写真はYAHOO画像より転載


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隠逸詩人、林和靖と素心

2019-02-03 11:50:09 | 一茶庵「易社」
先日の煎茶稽古では、久しぶりに隠逸詩人 林和靖こと「林逋」が取り上げられた。
北宋初期の代表的な詩人として、いまもその名声は伝え継がれている。
若くして身寄りがなく貧しい生活をしながら詩を学び、杭州西湖のほとりの孤山に隠居。
生涯独身を通し、梅と鶴を伴侶とした生活を送ったといわれる詩人である。
林和靖の詩の中でも、とくに梅花と西湖の美しさを詠った「山園小梅」は最高傑作として、いまの時代にもよく登場する。

掲げられている、このお軸がどのように「山園小梅」につながっていくのか、この時点ではまったく理解できてなかった。
見ての通り、お軸に描かれているのは、今年の干支「猪」のようである。
その猪が何を見ているのか、ということになる。その横に描かれているのは、たぶん梅と思われる。
「その梅だけど、なにか変とは思いませんか」、という宗匠からの問いかけに答えは見つからなかった。
宗匠曰く、梅というのは、お軸に描かれているように、枝は下に垂れていくことはない、という。
枝が横に広がり、その枝から上に向く性質を持っているから、と。
では、なぜあのように下向きに? と問われてみても・・・。

お茶は “素心”という淹れ方で煎茶をいただいた。急須に煎茶をたっぷり入れ、その中に水柱にいれていたお湯(ぬるめ)を注ぐ。
お猪口ほどの湯呑に半分程度の量である。入れてしばし待つ。そして湯呑にそそぐ。
煎茶のまろやかさが存分に味わえる一煎目である。そして二煎目はさらにぬるくなったお湯を直接急須にいれる。
また、しばらく待つ。二煎目は、予想通り渋味がたってくる。この渋味が “素心”のだいご味である。
三煎目はスペシャルが用意された。渋くなった茶葉にお酒をそそいだ。少し時間をおいて湯呑につぎ分け試飲。
おいしい味とは言えないが、年はじめのお屠蘇がわりに、と。
<つづく>




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柴門草舎絶風塵

2018-12-13 15:02:09 | 一茶庵「易社」
「柴門草舎絶風塵」。お軸に書かれているのは「尋龍井楊老」という句の一節。"さいもんそうじゃ ふうじんをたつ"と読む。

この"柴門"とは、どのような門なのか?と宗匠から問いかけられた。柴というから枯れ木のことなる。木を寄せ集めて造った簡易で粗末な門のことだろう。
その粗末な門の奥には、世俗を絶って学問に励むための舎がある。文人や隠棲者に相応しい清らかな栖になる。
人との交流を出来るだけ避け、ただ学問に勤しむ様子をあらわしたもののようである。

そんな心情にぴったりの淹茶(えんちゃ)を三煎まで淹れ、味の変化を楽しませてもらった。"素心"という、素直でシンプルな淹れ方である。
水柱のぬるま湯を急須に注ぎ、そこに煎茶を入れる。暫し待ってから湯のみにつぎ分ける。煎茶のまろやかはあるものの渋みが強い。
そして急須に二煎目のぬるま湯を注ぐ。この二煎目はさらに渋みが強くたつ。煎茶の醍醐味を堪能できる淹茶であった。

京都には柴門があってその奥に庵が設けられている場所は随所にある。こんな場所に身を置くのも乙なものである。








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闘茶は、おもしろい。

2018-11-15 18:24:07 | 一茶庵「易社」
11月3日は文化の日。数年前、文化の日にあわせ大阪 北浜のにある漆黒壁の小西邸で行われた「一茶庵・易社煎茶会」を回想した。
文人茶 一茶庵ならではの趣向で「闘茶」なるものをご参加頂いた皆様と一緒に楽しませてもらった。闘茶というのはお茶の品評会である。その昔、中国では皇帝に献上するために品評会が行われていた。日本にお茶が入り、南北朝、室町時代には金品を賭け楽しんでいたという記述もある。
その名残が、品茶として茶の湯や煎茶にも伝わっているようだ。一茶庵では、いまも稽古の一環として文人の遊び心を体験する闘茶をしている。

試煎として「玉露」「煎茶」「雁がね」の3種類を順次淹れた。4煎目で、この3種類の中の1つを淹れ、試煎した3種類のうちどのお茶と同じものだったかを当てるというもの。
このとき、当った方は4席トータルで半分くらい。意外と少なかったようである。淹れる合間で亭主が闘茶の話、お軸の話、小西邸の話など、茶々を入れるのでどのお茶がどんな味だったかが分からなくなってしまう。これもお遊びの趣向である。参加されたみなさんと一緒になって楽しめたら、というのが一茶庵 易社の煎茶会である。

先日、あるところで「玉露」を楽しむ機会があった。喉をくだる量はないが、玉露の美味さを堪能することができた。一茶庵で稽古させていただいているおかげでお茶を楽しめるようになった。







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