ライブ インテリジェンス アカデミー(LIA)

日本の伝統文化の情報を国内外に配信していくための団体です。 その活動を通じ世界の人々と繋がっていく為の広報サービスです。

雲龍院の随所で見る「菊花紋章」。【雲龍院Ⅴ】

2020-04-30 16:29:10 | 文化想造塾「神社仏閣」

神社仏閣にお参りすると、菊の御紋を見かけることがある。それは、天皇家と所縁のある証として随所に「菊花紋章」が表現されている。神社でいえば、ご存じ伊勢神宮。寺院では泉涌寺が天皇家のお墓を守る菩提寺である。泉涌寺は御寺と呼ばれ、月輪陵(つきのわのみさぎ)、後月輪陵(のちのつきのわのみさぎ)が泉涌寺の山内にあり、天皇家の歴代陵墓として拝所になっている。

その所縁のある泉涌寺や別院でも「菊花御紋」が随所に表されている。雲龍院でも中庭の石灯籠を中心に菊の御紋が敷かれている。白砂利を使っての菊は美しい、の一言である。

なぜ、菊が天皇家の紋章になったのだろう、という疑問がわいた。菊は、日本では古くから野に咲く花という印象が強い。一年を通し、最後に咲くのが菊であり、庶民的なイメージで人目を惹くような華やかさを持った花ではないと思うが・・。

資料によると、仁徳天皇の時代に、中国からこれまでとは全く違う形の菊が日本に入ってきた。その形は、いまで言う大菊といわれる種類で、当時、大きくて華やかな花を咲かせる菊として人々を魅了した。

そして、その菊が天皇家の御紋として正式に採用されたのは、平安時代に入って後鳥羽上皇の代になってからのようである。とりわけ菊の花を愛した後鳥羽上皇が、天皇家の調度品などに菊の紋を使用するようになり、それが天皇家の御紋につながっていった。

雲龍院を訪ねるたびに思うのだが、非日常空間で “心の体操” をさせていただいている。心に響く、また心を整える時空間が揃っているように思う。

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屋内に居ながらに彩のある風景が楽しめる。「蓮華の間」【雲龍院Ⅳ】

2020-04-28 16:39:23 | 日本の美

雲龍院には、さまざまな感情を奮い立たせる雰囲気がある。心の運動ができる妙なる場所だと思っている。屋内にいながら外の風景をみせてくれる。写経道場や悟りの間もさることながら、「蓮華の間」や廊下の隅々にも繊細で妙なる情緒感性があふれている。

その「蓮華の間」に入ると、奥に4枚の窓ガラス付の雪見障子がある。お客様を迎えたとき、茶席で言う寄付き待合いの部屋のようでもある。その4枚の窓から庭が目に入る。ある位置(写真で言うなら、左側手前)に座り窓を通し眺めると、春なら一番左の窓からは椿、そして順次右の窓からは、灯篭、楓、松が見られる。彩の異なる風景を窓越しに味わえる。これを「色紙の景色」と呼ばれ、訪れた人々を楽しませている。

また、雲龍院の廊下の隅々には幻想的な活け花がしつらえてある。歴史と伝統ある空間に、自然の領域をも超えた現代の創作美が絶妙にマッチしている。

 

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本堂での「写経」、心も体も整えられる。

2020-04-27 16:49:52 | 文化想造塾「神社仏閣」

この雲龍院に通う最大の目的は「写経」である。写経を行い、写経する時間を楽しむために。

本堂の「龍華殿」が写経場であり、障子で閉ざされた雰囲気は別の時空間を感じさせる。本尊の薬師如来像の横に写経塔があり、その中に光子内親王が書かれた写経が納められ、写経のご本尊として安置されている。

本堂に入ると、雲龍院独特の、写経をする前の所作がある。まず、「丁字(ちょうじ)」の木の花蕾を乾燥させたものを一つ口に含む。身体を清める「塗香(ずこう)」を手に塗る。そして心を清める「酒水(しゃすい)」をほんの少し頭に注ぐ。この三つの所作が終われば座につく。

写経をする机は、後水尾天皇によって寄進された机を現在も使用しているというから精神的高揚感が高まる。そして、机に置かれている写経用紙には菊の御紋が添えられ、用紙には薄く般若心経が刷られている。それを朱墨で写していく。

それから静かな時が流れる。

写経のあとの、方丈で庭園を眺めながらの一服は、心も体も整えられていくようである。

 

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雲龍院の悟りの窓「円相」に向かい

2020-04-26 17:08:09 | 文化想造塾「神社仏閣」

雲龍院の書院には「悟りの間」という部屋がある。そこには、四角い「迷いの窓」と、丸い「悟りの窓」がある。入口近くの「迷いの窓」は人生における苦しみを象徴し、「生老病死四苦八苦」を表しているといわれている。そして奥にはある「悟りの窓」は真円で、禅における悟りの境地を表し、宇宙が表現されているといわれている。そして窓越しに、四季折々の景色が楽しめるようになっている。
さらに床の間には、仏画と般若心経のお軸が掛けてあり、坐禅を組む設坐の部屋のようにも思える。瞑想し般若心経を唱える部屋として存在したのだろう。

禅宗系の寺院でよく一筆で書いた円や、円い障子窓をよく見かける。この雲龍院の悟りの窓もそうであるが、これを円相(えんそう)という。禅における書画のひとつで、図形の丸を一筆で描いたもの。「一円相(いちえんそう)」「円相図(えんそうず)」などとも呼ばれる。 悟りや真理、仏性、宇宙全体などを円形で象徴的に表現したものとされるが、その解釈は見る人に任されている。また、円窓と書いて「己の心をうつす窓」という意味で用いられることもある。 また始まりも終わりもなくスムーズに流れ続ける動きは、仏教のとらわれない心、執着から解放された心を表わしている、ということである。

一筆の円相は、今朝書いたもので、心が治まらない心境が見えている。もう一枚は、昨年、円相の中に仏画を描いたときの一枚である。
写経同様に、たまに筆をもち、心を治めるためにと思って書いてみるが、なかなか思うように書けない。しかしながら、楽しいものである。

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泉涌寺塔頭「雲龍院」の美しさ。

2020-04-24 16:50:47 | 文化想造塾「神社仏閣」

神社仏閣が好きで心赴くままに参拝鑑賞させていただいている。その中でよく訪ねる寺院がいくつかある。その一つが、京都東山にある真言宗泉涌寺派の総本山である御寺 泉涌寺(みてら せんにゅうじ)。ご存じの方も多いと思うが、皇室と深いかかわりのある仏教寺院である。昨年の、天皇陛下・皇后陛下の「即位の礼」のあとに京都をお訪ねになった時にもご参拝された寺院である。

その泉涌寺にも参拝させていただくが、通う目的は泉涌寺塔頭の「雲龍院」という寺院である。雲龍院に足しげく通うようになったのは、他の寺院にない写経や写経場の環境が素晴らしかったからである。それに、書院から眺める庭園の美しさ、そしてそこでの一服の茶が穏やかな時間を創ってくれる。さらに、仏教寺院ならではの書院の工夫などが随所に鑑賞でき、心身ともにリラクゼーションの聖地だと思っている。

その雲龍院を少しずつ紹介していたいと思っている。いまの事態が終息した折には、京都に行く機会があれば立ち寄っていただければ嬉しい限りである。

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