【教育現場】シリーズ4-4
そして数ヶ月経ったある日、彼女と数人の生徒の間で口論があった。彼女の行動に違和感を持つ生徒たちが彼女の話をしていたのが、彼女の耳に聞こえたらしい。それが起爆剤になり怒りが爆発した。椅子や机を蹴り、生徒に少しケガをさせてしまった。彼女から想像できない乱暴な言葉が口を突いて出た。
閉ざされた心に針を刺された気持ちだったのだろう。周りを全く気にしてないように見えていたが、実は人一倍周りに敏感になっていた。
そんな出来事が起きてからは、さらに彼女の心は閉ざされ聞く耳を持たない。大人の女性といっても一高校生。家庭を訪ね父兄に事情説明させてもらったが、父兄の方も娘と話せないという。長い長い間、彼女と会話ができない状態になっている現状を聞くと、われわれの心も詰まる。
彼女の今後のことを考えると辛く重いものがあったが、苦渋の決断をせざるを得なかった。退学という処分だった。その旨を父兄に告げ書面で伝えた。
そういうケースがどこにもあり得る。家庭でも学校でも。専門家曰く、彼女ははっきりとした発達障害者だ、という。大人になって人には性格上、発達障害の症状に似たところは見受けられるが、いつまでも引きずると社会生活が極めて難しくなる。
ここまで引きずってしまった要因は何だろう?と考えてしまう。先天的な脳機能の脆弱もあろうが、小さい時からの家庭環境、親の愛情や躾なども大きな要因といわれているが、私には答えはない。ただ、これからの彼女の人生の中で何か良い変化が生じることを願っている。