ライブ インテリジェンス アカデミー(LIA)

日本の伝統文化の情報を国内外に配信していくための団体です。 その活動を通じ世界の人々と繋がっていく為の広報サービスです。

この世で極楽を感じる「現世極楽浄土」 即成院の「阿弥陀如来と二十五菩薩像オーケストラ」が祀られている空間

2024-09-04 16:01:10 | 文化想造塾「逸品殿堂」

仏画制作を楽しむものにとって、いろんな仏様を仏像や仏画の姿を通して目にすることが多い。そしてそれぞれの仏様の役割や意味を知ることで仏様への眼差しが変わってくる。

 

それを強く感じる仏画がある。それは、「大日如来と十三仏」と「阿弥陀如来と二十五菩薩」。この二つの仏画は「来迎図」といわれるもので、亡くなられた方を迎えにくる仏様の集団のことである。

この画は仏画制作の中でよく見る。各教室とも大日如来と十三仏はチャレンジしたことはあるが、個人的に興味をそそられるのが二十五菩薩。未だ仏画制作課題として提案したことはない。

 

ぜひ、生徒さんたちとチャレンジしたいと思っている。それは阿弥陀如来像の周りにいる菩薩がそれぞれ楽器を抱え音楽を奏でながら天上から雲に乗って降りてくる姿が描かれている。「二十五菩薩オーケストラ」という興味深い仏画(写真/縦と横2枚)である。

 

その阿弥陀如来像と二十五菩薩像が実際に安置されている寺院がある。京都・東山にある真言宗泉涌寺派の即成院(そくじょういん)には、阿弥陀如来が二十五菩薩を従え極楽より現世に来迎される姿を等身大の仏像坐像として安置されている。平安時代より立体的に現存して残されているのは同院だけで、本堂内陣は、この世の中で極楽を感じられる場所でとして「現世極楽浄土」と呼ばれ特別な空間になっているようだ。

 

ぜひ、参拝を果たし仏画制作にチャレンジしたい。

 

 

 

即成院の阿弥陀如来と二十五菩薩像

 

 

 

阿弥陀如来立像と二十五菩薩来迎図

 

 

 

聖衆来迎図 (高野山霊宝館所蔵)

 

 

 

即成院の歴史資料記載のパンフ

 

 

 

文/ 渡邉雄二

写真/ 即成院HP、ネット画像より転載

 

#来迎図 #阿弥陀如来と二十五菩薩像 #二十五菩薩オーケストラ #楽器を持つ菩薩 #音楽を奏でながら降りてくる #即成院 #現世極楽浄土

 

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銅の特性を生かして造る銅鍋は、叩いて硬くする。【逸品殿堂シリーズ記事追想】

2021-02-12 10:30:01 | 文化想造塾「逸品殿堂」

10年前に取材で訪れた「甲野製作所」。大阪平野区にある、手打ちの家庭用銅製品を製造する家内工場。昨年、コロナ感染が拡大する前に2回目のYoutube取材を申し込んだが、残念ながらコロナ騒動で実現しなかった。

10年後の現在、当時お話を聞いた3代目甲野通弘さんは87歳。電話で聞くと今も、4代目ご子息浩正さんをサポートしながら現役のようである。

古くから和菓子に使われる"餡子(あんこ)"を炊くのに欠かせない道具として銅版の鍋が使われている。いまも家内工業的な和菓子屋さんの奥には必ずといっていいほど大きな銅鍋がある。

銅鍋が使われる一番の理由は、あずき色が出ること。それとあずきのふっくら感が違う、ということ。和菓子屋さんにとって銅鍋は欠かせない道具である。
それと天ぷら屋さん、和食割烹などのプロの料理人の道具必須アイテムとして君臨している。卵焼きは銅鍋に限る、と言われてきた。さらに炊く料理は、水分をほどよく飛ばしながら食材に味をしみこませるのを得意としている。そのレパートリーは肉じゃがや魚の煮付け、煮豆といった和風のものから、ホトフ、カレー、シチューなどがある。さらにフレンチのソースづくりにも最適とされている。

これらの銅鍋を、昔ながらの手打ちで造り続けているのが甲野製作所である。手打ちとは、機械に頼らずに長年培われた技術と勘で仕上げていること。ここ甲野製作所は、3代目の甲野通弘さんと、跡継ぎで4代目になる息子さんの浩正さんのふたり。バブル時までは職人さんが何人かいたのだが、いまは親子二人三脚でがんばっている。

3代目の通弘は、銅鍋づくり60年の大ベテラン。作業は、とにかく叩く。銅版を金床に置いて金槌で叩いて叩いて、また叩く。

なんで叩くのか、というと、銅の分子が詰まり硬く頑丈になっていくから、という。銅鍋は、叩いた跡の槌目が特徴である。ここ甲野製作所のものにはどの部分にも槌目が入っている。だから頑丈なのである。出来上がりのものを手に持ったとき、手にズシリとくる。その存在感は鍋の王様の風格を感じさせる。

 

造る過程は、まず鍋の胴部分の製作、底板の接合、磨き、槌目入れ、柄の接合、スズの塗装といった行程に分かれている。そして銅を火にあぶり軟らかくして焼きいれをする。鍋を造るのには、一枚モノの銅版を押し込んで造るものだと思っていたが、胴回りと底板を接合している。接合部が見えないのは、ここでも叩いているからである。

すべてが手造り。手間をかけて造る。鍋の出来が料理を左右することまで頭に入れて造っている。生産性は低いが、職人の魂が入っている。時代遅れかも知れないが、本物である。たかが鍋、されど鍋。すばらしい逸品に出会った。

 

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自然の光で見る、墨色の若冲。 

2020-10-26 20:45:25 | 文化想造塾「逸品殿堂」

数年前に、京都 宝蔵寺所蔵の伊藤若冲の「竹に雄鷄図」や長沢芦雪の「拾得図」、鶴亭浄光の「墨蘭図」などの作品を鑑賞する特別講座が、京都市所有の、第3代、9代の総理大臣を歴任した山縣有朋の別荘「無鄰菴」で行われた。

通常、伊藤若冲の絵を鑑賞するとなれば、博物館あるいは美術館がほとんど。蛍光灯などの灯りに照らされている場合が多い中で、その時の講座は、テーマが「日本の絵画を知るー"自然の光で見る若冲"」だった。それに惹かれ参加した。

 床の間に掛けられていたお軸は紅葉の絵。この絵を蛍光灯で見るのと、自然の光の中で見るのと明暗の違いが素人でもはっきりと理解できた。

 続いて本題の若冲の「竹に雄鶏図」を、今回の講座解説をしていただいた福田美術館学芸課長(当時/嵯峨嵐山日本美術研究所)の岡田秀之氏が、「3年前にこの作品が若冲筆のものであると認定されて以来、表具を一式新しいものにし、その初披露となります」と前置きし掛けられた。

若冲が得意としている鶏の中でも、この絵は墨のみで描かれたもの。描き方などを詳しく解説され、とくに尾羽根など墨がどのくらい滲むかという計算をした上で描いている、というのがこの絵の最大のポイントという。

その絵が、自然の光の中でどのように見えるかを楽しむのが今回の主旨。自然の光の中では明暗がよくわかる。それによって鶏の動きが見えてくるよう。

実際、若冲が描いたときは、ランプの灯りか自然光の中である。その灯りの中で墨の濃薄をつけて描いたものだからこそ、自然光で観るのがベストのように思う。若冲の墨色にこだわる想いが伝わってくるようだった。

絵の解説以外にも、表具や保存の仕方など多義にわたる解説も興味深い内容だった。

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卓越した能の演技力。 “観る力” が求められる。

2020-09-15 14:08:39 | 文化想造塾「逸品殿堂」

半年ぶりに取材活動を開始した。自粛期間が長引き、取材内容やスケジュールなどが思うように調整ができなくなり、久しぶりの再始動になった。今回の取材は、ある企業の「YouTubeチャンネル」を開設し日本の伝統文化に関する動画を制作している。

その動画を国内はもちろん、海外に向けて発信することを計画している。それは、日本の伝統文化を海外で観ていただくチャンスを増やし、それを後々英語で伝える内容にしていくことを検討している。

その第一弾として、能楽師 林本大氏による「能楽」を紹介する。

 

その取材を開始した。動画撮影の合間を縫って見聞きしたことを拾ってみた。

能というのは、必要最低限の舞台装置しか用いない演劇である。使う主なものとしては「面(おもて)」、「扇(おうぎ)」、「装束(しょうぞく)」のみ。そして能は「舞」、「謡」、「囃子」だけで成り立っている。これだけで演者はそれぞれの物語を表現していく。つまり演者は高い演技力(技能)が必要とされるわけである。

となると、観る側の “観る力” が求められる。演じる側は、観る側に寄り添い解りやすいようにストリーや舞をアレンジすることは一切ない。いうなれば、観る側にその知識や理解力を強いるのである。「伝統」を一切崩さず演じるのが「能」、だから面白い(深い)と思える芸能として今も生き残っているのだと改めてその存在感を痛感した。

 

今後は、能の歴史や現代に伝承されてきた経緯など、また、能の題目や謡や装束などについても取材をする予定である。現段階では、日本語のみのYouTubeチャンネルにアップしている。

■YouTubeチャンネルアドレス / https://youtu.be/3V1msLDjN2w  

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削り節屋さんで談義。 “家庭の風味、復活に燃える”

2020-08-26 15:08:18 | 文化想造塾「逸品殿堂」

前回に引き続いて、2008年リニュアルオープンした大阪の台所「大阪木津卸売市場」を紹介した記事のリメイク版である。今回は、削り節専門「平松商店」さん。


来週の月曜が第一期オープンの日である。青果を中心とした店舗の新規棟がスタートする。(2008年) 会議の前にいつものように市場内をひと回りするのが習慣になっている。いろんな食材の店舗を見て回るのが好きである。市場の活気と市場らしい雰囲気に魅せられている。
今日、立ち寄って店先で立ち話に華(鼻)が咲いたのが「平松商店」。ここは削り節屋さんである。店先に立つと削り節の香りが漂っていた。鼻が全開し、ついつい店内に入り話し込んだ。



削り節は日本古来の伝統食品。これこそ生粋の国産と誇れるものである。昔は素干し、焼き干し、煮干ししていたが、現在は煙でいぶす方法がとられている。さらにバイオテクノロジーの手法を使ったカビ付け法などもある。生の魚にはない風味が醸し出され、日本の独特で絶妙な下味を支えている。
削り節、といえば鰹節(カツオぶし)。誰でもが知っている出汁の最高峰である。他に鮪節(マグロぶし)、鯖節(サバぶし)、鰯節(イワシぶし)、鯵節(アジぶし)などが主な削り節として出回っている。それに各削り節がブレンドされているのもある。
すべて味や風味が異なる。料理によって当然使い分けられる。料理人のこだわりや手法によって独特の使われ方をされるのも面白いとこである。
まず「出汁」、そして「具」。後は料理人の手法とこだわりと愛情が重なりあうと絶品と言われる料理になっていく。一流の料理人になればなるほど削り節を頼りにしているようだ。



平松商店さんで売られているものには、酸化防止剤、防腐剤、着色料などは一切添加されていない。さらに栄養価が高いのが特徴である。高たんぱく、低脂質の食材としていまのニーズにぴったり。そして削り節に含まれるアミノ酸の種類は30種にも。体内で合成できずにどうしても外から摂取しなくてはならない “必須アミノ酸” がすべてに含まれている。また、乳幼児に欠かせないヒスチジンの含有量が高いのも特徴である。((社)全国削節工業協会資料参照)

自然の恵みを、昔からの知恵と工夫により手を加え、いまだ重宝されている削り節。日本の料理の味を支えてきたが、「家庭の風味」として伝わってほしいものである。

先日(2020夏)、TVの放送で見たのだが、若い女性オーナーが 卵かけご飯ならぬ “削り節かけご飯” 店をオープンし、伝統に、一味、二味の “新しさ” を加え、削り節を主役に大人気を博していた。

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