密教の代表的な修法のひとつである「柴燈護摩供」は、印相を結び仏具のひとつである鈷を用いて、護摩をたき、真言を口唱して仏の加護を求める儀式である。その儀式である修法には大きく分けて息災・増益・敬愛・調伏の4つの体系から成り立ち、それを修めることによって「現世利益」や「即身成仏」を得ることができるといわれている。
密教では、山伏(修験者)や僧侶が執り行う「柴燈護摩供」の儀式は古くから修験者によって伝えられたものである。その儀式は、まず導師とともに入堂するところから始まり、祈祷や護摩焚きまでの流れが決まっている。微妙な流儀の違いは多少あるだろうが基本的な流れは同じようだ。
入堂後、本堂前で読経が始まる。その後、全員が柴燈護摩の祭壇前に集まり、火入れが行われるまでの流れを簡単に解説すると、まず導師と山伏の「問答」から始まる。そのあと、仏の教えが迷いを断ち切る「法剣の儀」が行われる。続いて護摩壇に用いられる壇木を切り出す様子を表した作法の「法斧の儀」、そして弓矢を使って東・西・南・北・中央・鬼門の諸魔に結界を張る儀式である「法弓の儀」が続いて行われる。そして施主の願意が記された「願文」を導師自らが読み上げ、「火入れ」が行われる。火が入ると、一斉に錫杖や太鼓に合わせ「読経」が始まる。
最後に、みんなの願いが込められた護摩木を、山伏たちが印契を結びながら燃え盛る炎の中にくべていく。その願いが炎となり煙となって仏菩薩のところに届くという。修法の古くからの伝統儀式を興味深く拝見させていただいた。
山伏たちが本山に入堂する。そして本堂前で読経が始まる
導師と山伏の「問答」が行われる
仏の教えが迷いを断ち切る「法剣の儀」が行われる
壇木を切り出す様子を表した作法の「法斧の儀」
諸悪魔に結界を張る「法弓」の儀
願意が記された「願文」を導師が読み上げる
火入れ
火が入ると、一斉に錫杖や太鼓に合わせ「読経」が始まる
護摩木を山伏たちが印契を結びながら燃え盛る炎の中にくべていく
文・写真/ 渡邉雄二
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“たなべのお不動さん” で親しまれている大阪 東住吉区の法楽寺。一昨日の28日、たなべ不動尊大祭「柴燈護摩供(さいとうごまく)」の法要が多くの信者さんなどが見守るなか執り行われた。僧侶の読経に錫杖や手錫杖、そして修験者の法螺貝や太鼓の音などが地域一帯に鳴り響いた。
柴燈護摩供とは、天台宗門宗の幾つかの寺院で行われたのが始まりとされ、それが真言宗を開祖した弘法大師空海の孫弟子にあたる聖宝理源大師に伝えられたことで、現在では修験道の法流を継承する寺院で行われている仏教行事である。
真言宗系寺院では、柴燈護摩供が真言密教の奥義として野外で行なわれる大規模な護摩祈祷法要である。本来は、山岳修行にて山伏(行者)だけで修するためのもので、不動明王の強力な法力を得た山伏による柴燈護摩供や護摩行である「加持祈祷」が願望達成や問題解決など奇跡を起こすとされる最強の奥義として続けられている。
仏に仕える僧侶や修験者の方たちが我われに替わって仏を招き、我われの願いが込められた護摩木を火にくべて叶えようというものである。燃え盛る火のなかで形あるものは無くなり炎となり煙となって遥か彼方に届けられるのであろう。
文・写真/ 渡邉雄二
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先日、東寺さんに参拝したおり、
南大門をはさむ土塀の前にある堀に
すこし萎れているかのように見える
蓮花が一輪ほど咲いていた。
周りには青々をしげる葉と、
花ビラを落とした花托が
この夏最後を告げているかのよう。
文・写真/ 渡邉雄二
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