ライブ インテリジェンス アカデミー(LIA)

日本の伝統文化の情報を国内外に配信していくための団体です。 その活動を通じ世界の人々と繋がっていく為の広報サービスです。

雑穀は、日本食文化の原点 【伝統料理を楽しむⅦ」

2021-06-04 14:45:36 | 食文化

昨年から続いている「伝統料理を楽しむ」料理講習会は、

参加していただいている方たちに好評を得ている。

今回で5回目、限られた人数で行っているので参加者もほぼ同じ顔ぶれ。

和やかな雰囲気に包まれながらみんな笑顔で楽しめているのがサイコ~。


昨年の10月から魚のさばき方を中心にした料理実習がスタート。

1回目は「さんま」を食材に、2回目は「しゃけ」と続き、

3回目は保存食づくりに挑戦、オイルサーディン、アンチョビをつくった。

今年に入り、1月が「なにわの伝統野菜の講座」。

実習なしで先生の講義と、講義を受けながら試食する講習会を行った。

 


そして先週、「雑穀」を食材にした講習だった。

いままでの雑穀のイメージが覆させられるほどの内容であった。

雑穀は、昔から主食のお米(白米)にあわせるだけの食材としてしか認識がなかった。

この時代の健康ブームで「雑穀」がよく紹介されている。その健康食として大いに人気が高まっている。

 



講習のスタートは、赤米、黒米、あわ、ひえ、きび、大麦、そばの実、たかきび、アマランサスなどを

試食しながらそれぞれの特徴や使い方などを習った。

そのあと、先生が実際に雑穀を使ったレシピに基づき調理。

レシピや調理方法を聞きながら一つ一つを試食。

こんなにも雑穀がバラエティにとんだ料理に使えるのか、と思うほど。

しかも栄養価が高い。料理ファンの間では人気がでるはず。

手間を惜しまず暮らしを楽しむのには最高の食材である。

大切にしたい日本の、暮らしの知恵や工夫を料理を通して学んだような気がする。

これぞ、日本の食文化である。大切にしたい、日本の財産である。

メニューとして


■赤米寿司(左端)



■ハンバーグ



■椎茸のおこわ詰め



■雑穀炒め物



■ポテトサラダ



■雑穀サラダ



■雑穀サラダ(ワイルドライス)

この記事は、2009年2月「心と体のなごみブログ」に掲載したものをリライトし転載

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薬膳は万人受けする料理ではない。体質や季節に合わせ健康を食でサポートする

2021-06-02 14:32:00 | 食文化

薬膳料理をひと言で語るのは筆舌に尽くしがたい。

筆者が知る限り、また補足できる情報を加味して言うならば、

薬膳とは中医学理論(中国伝統医学)にもとづいて考案された、

食材と中薬(生薬)と組合せた料理。栄養、効果、色、香り、味、形など、

すべてのバランスが揃った食養生の方法ということになろう。

食養生とは、病気の予防と治療、健康保持、体質改善などを目的としており、

その人の体質や体調に応じて栄養を考え調整することである。

 

薬膳料理は「この料理が効果的」といった万人受けするものという考え方ではなく、

季節や食べる人の体調に合わせて作られる。

冷え症が気になる人に体の熱を逃がす効果のある薬膳料理を組み合わせると、

保温に必要な熱まで奪ってしまう可能性があるので体質に合っているとは言えない。

同じ料理でも体質によって合う・合わないがあり、それを見極めて料理を作ることが大切だといわれている。

 

また季節に合わせた旬の食材を使うことで、気候に合った食材のパワーを体内に取り入れられるとも大事。

そして冬の時期の旬の食材には体の中から温まる効果があるものが多く、

春にかけてはさまざまな刺激から体を守ってくれる免疫力の高まる食材や苦みのある食材が多くなる。

体質や季節に合わせて料理を行うことも、健康を食でサポートする「薬膳料理」の考え方である。

 

薬膳は食べておいしさを楽しむだけの料理ではない。エネルギーを摂取するための食事とまた少し違いう。

冷えや食欲不振など、その人がもつ体質自体を改善へ導くための食事が薬膳料理ということである。

薬膳は生薬を使わなくても、体質に合った身近な食材を使うことで症状の緩和を目指すことができる。

 

日頃、料理するたびにこんなことを考えると、楽しい料理も好きな料理もそうでなくなってしまう恐れがある。

やはり、日頃の生活のなかで作りやすいものでなければ続かない。

それで、今回暮らしの中で作れる薬膳料理の講習会を行った。

講師は、滋賀県大津市の「薬膳館」の館長さんである横田佳子さん。

横田先生はもちろん

お料理の専門家であるが、 薬膳には欠かせない生薬の先生でもあり、 中国健康法の専門家である。

 

まず、五行説の話から始まり、上記記載の薬膳についての話を聞き、

自然と食物のかかわりの大事さを改めて認識し、料理実習に入った。

 

メニューは下記のとおり

■黒い肉まん
材料は、白菜・黒きくらげ・干しエビ・干し椎茸・白ねぎ・豚ミンチ・生ピーナツ

・葛根(かっこん)・小麦粉・ベーキングパウダー・黒粒胡麻・黒すり胡麻・水



■黒米とたいそう(なつめ)のお粥
材料は、白米・黒米・黒餅粟・なつめ・黒砂糖


                                        

■芹菜と銀耳のサラダ                                             材料は、芹菜・林檎・銀耳(きくらげ)・白ねぎ・塩・酢・サラダ油

の3種類です。
この季節は身体に良いとされる「黒」の料理ということである。

薬膳料理は体質に合わせて、使用する食材・調理方法を選ぶ。

たとえば手足の冷えが気になっている人には、体を温める効果が優れている生姜。

そして胃腸を温める効果のあるレンコン、鮭、大根などを組み合わせるのも良いとされている。

体調にあわせ、どんな食物が効果的なのかをまず知っておくことが肝心のようである。

機会があれば是非勉強されることをお勧めする。

 

※この記事は、2005年11月の「心と体のなごみブログ」に掲載した内容をリライトし転載

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妙心茶粥の神髄を楽しむ 【伝統料理を楽しむⅣ】 

2021-05-24 14:42:12 | 食文化

以前、各分野で活躍されている芸術家や文化人、

僧侶の方たちの温かいお力添えをいただきながら日本の伝統文化に触れる

「ライブインテリジェンス交流会サロン」を開催していた。

その交流会サロンでは月一回、スペシャルゲストをお招きし、

またゲストのサロンやお店などを会場に今までにない体験をさせていただいた。

前回紹介させていただいた摘み菜料理研究家の平谷けいこ氏、

そしてなにわの伝統野菜の料理研究家の田村佳子氏やそば道場の植田塾長もそうである。

 

今回紹介するのは、先日開催した交流会サロンのゲストは、

神戸で薩摩道場という会席料理屋さんのご主人、郷原達人師。

郷原氏は京都・大徳寺で修行された茶人であり料理人である。

今回の談義のテーマが「妙心茶粥」と称されるシンプルな茶粥。

すべての邪物を削ぎ落としたもの。お米とお茶だけの食物である。

茶は養生の仙薬なり、茶粥は延命の妙薬なり、と郷原氏は茶粥の本髄を語る。

まず、参加者は茶室でお茶をいっぷくいただいた。作法抜きのお茶談義に華が咲き、茶を賞味した。

そのあと部屋を移し、蝋燭の陽炎だけが燈っていた。まさに別世界である。

ここでは手作りのゴマ豆腐と白州あえにお漬物に茶粥の膳が運ばれてきた。

 


茶粥は、湯を沸かし茶袋に入った茶をいれ沸騰させる。

その沸騰したお茶に、簡単に水洗いしたお米を入れる。それから約15分程度炊く。

それで出来たものが妙心茶粥である。

茶粥をいただいたあと、お代わり茶粥として、炊いたご飯にお茶をかけたものが運ばれてきた。

茶粥の二杯飯である。お新香にあわせると妙味が心に沁みわたっていく。

そして白湯をいただいて終了。身体が温まるものであった。

精進料理である茶粥をとおし、日本の食文化の一端を楽しませていただいた。

 

※この記事は、2008年12月の「心と体のなごみブログ」に掲載されたものをリライトし転載

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これぞ、プロの技!! そば道、と言われる所以の一端を知る

2021-05-16 14:18:35 | 食文化

十数年前に、日本の家庭料理や家の食卓に出される料理のなかで、

ほんの少しこだわりをもつ伝統料理を楽しむ講習会を開催していた。

日本の風土や文化で育まれた食材やメニュー、そして味を再認識し楽しもうという企画だった。

それを記した内容を少しリライトし再掲載していく予定である。

 

その第一弾が「手打ち蕎麦」。

そば打ちで、十割そばや八割、七割蕎麦など配合いかんに問わず、

そばの出来ばえの良し悪しは粉を混ぜ合わせるときに入れる水量で決まるという。

どの位水を入れるかは色やはだ触りで決める。これも職人の技。粉の種類や量、

配合によっても水の量が異なる。これも経験がモノをいう。

 

手打ちそば講習会でそば打ちの奥の深さを体感。参加された方たちも初めて。私も初体験である。
植田塾は手打ちそば道場として開講されている塾である。

その塾長さんが、まず粉をかき混ぜ、そして手のひらでこねて麺棒で延ばし、

麺切り包丁でマッチ棒角くらいに切り、出来上がりまでを丁寧に解説しながら実演していただいた。
そしてその工程のすべてを参加者全員が行った。

塾長と講師の方に手取り足取り手伝っていただきながら、そば打ちの体験をさせていただいた。

植田塾長の冗談を交えたトークが作業をさらに楽しくさせる。このトークはおばちゃんに大うけ。

おばちゃんたちも突っ込みを入れる大阪ならではのそば打ち体験になった。

 

 

手打ちそばの行程を見ていると、安易にいうなら誰でもができる作業である。

粉をこねて、平たく伸ばし、包丁で切る。大きく分けるとこの作業である。

誰でもできるこの作業で、まして調味料で味を調えるわけでもないのに、

プロの方との味が大きく違うのも不思議である。何事にも通じることだが、やはりまず「基本」である。

この基本にマスターした上で、それぞれの感性や感覚そして心が備わらないと、

美味いそばはできないということを教えていただいた講習会だった。

 

最後に塾長が打ったそばを試食した。我々が打ったのは持ち帰り、その夜食べて驚く。こんなにも違うものか、と。

 

 

この記事は、2008年11月「心と体のなごみぶろぐ」に掲載されたものをリライトし転載。

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大阪食文化を育む「なにわの伝統野菜」を試食。 【ライブインテリジェンスクッキング】 

2020-10-28 15:22:17 | 食文化

10年程前に、料理講座を主宰していたことがあった。大阪北浜にある料理教室「和香」さんの田村先生の指導で魚類、野菜類に絞った料理講習会だった。

和香さんの通常の教室以外に、ライブインテリジェンスクッキングとして開講していた。「魚のさばき方」を学ぶために始めたがきっかけで、仲間7、8人に声をかけ、筆者も腕まくりしながら頑張っていた記憶がある。

その時のいくつかの楽しかったエピソードを交えて振り返り紹介したいと思っている。そのスタートとして、当時、話題になっていた「地場の伝統野菜」。伝統野菜、といえば「京野菜」が頭に浮かぶが、どこの都道府県でも地元活性化の旗頭として「地産地消」を訴えていた。

大阪でも同様に、府下で生産されている野菜のいくつかを「なにわ伝統野菜」としてブランド化を始めていた。いま現在では、大阪府、大阪市認証としては18品目がある。
大阪市内では「毛馬胡瓜(けまきゅうり)」、「玉造黒門越瓜(たまつくりくろもんしろうり)」、「勝間南瓜(こつまなんきん)」、「金時人参(きんときにんじん)」、「大阪しろな」、「天王寺蕪(てんのうじかぶら)」、「田辺大根(たなべだいこん)」、「芽紫蘇(めじそ)」、「難波葱(なんばねぎ)」の9品目。

天王寺蕪をペースト状にして火を通したもの/天王寺蕪を、圧力鍋で15分茹でたもの(型崩れなし)


大阪府下では豊能町の「高山真菜(たかやままな)」、「高山牛蒡(たかやまごぼう)」。吹田市の「吹田慈姑(すいたくわい)」、茨木市の「三島独活(みしまうど)」、高槻市の「服部越瓜(はっとりしろうり)」、泉州地域では「泉州黄玉葱(せんしゅうきたまねぎ)」、摂津市の「鳥飼茄子(とりかいなす)」、守口市の「守口大根(もりぐちだいこん)」、そして羽曳野市の「碓井豌豆(うすいえんどう)」の9品目が認定されている。

田辺大根、大阪しろな / 田辺大根

その一つ一つを先生から解説していただき、その料理方法を教わる興味深い講習会であった。その中からいくつかの食材を試食し、食材自体の味を楽しませていただいた。

いまの時期にあるものを先生の下味だけで賞味した。すべての食材が甘~い。こんなにも美味しいものか、と思えるものばかりだった。舌を巻く上品な味を堪能。大事に丁寧に育てられているのがよく伝わってきた。
まだまだごく一部でしか生産されてない。だからなかなか手に入りにくいものも多い。大阪で言えば木津卸売市場や黒門市場にいけば手に入ようだ。

食道楽といえば「大阪」。たこ焼きも、お好み焼きもそれぞれの文化ではあるが、素材にこだわる食道楽として「大阪食文化」の原点が見えてくるようだった。

大阪しろな(出汁と塩で、厚揚げと一緒にあえる) / 大阪しろな

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