ライブ インテリジェンス アカデミー(LIA)

日本の伝統文化の情報を国内外に配信していくための団体です。 その活動を通じ世界の人々と繋がっていく為の広報サービスです。

最高の名誉なブランド茶碗

2018-11-01 07:53:55 | 一茶庵「易社」
常設の中に国宝の「油滴天目」が飾られていた。
ガラス越しではあるが本物を眺められのは鼓動が高鳴る。

南宋時代12、13世紀のもので、かつての関白 豊臣秀次が所持し、
のち西本願寺、京都三井家、若狭酒井家に伝来したもの、と解説されていた。

門外漢にとって、"国宝"という最高の名誉なブランドをもつ茶碗といわれてもピンとこないが、
眺めていると惹きつけられるから不思議だ。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

路面にお茶の花が咲く。

2018-10-20 10:15:31 | 一茶庵「易社」
前回の稽古は、蓋・扉をはめこむために溝がひいてある箱もの
「倹飩(けんどん)」に収められたお道具を取り出すことから始まった。
お茶は雁が音で、淹れ方は掌(たなごころ)。雁が音のまろやかさを味わいながら三煎まで淹れ味の変化を楽しんだ。

今回のお軸は、写真にあるように木の枝に美しい鳥が留まっているもの。木には白の花が咲いている。
いつも通り、"これはなんという木ですか"と宗匠が尋ねた。うぅ〜、唸る声がもれるだけ。
"白い花が咲く木ですよ"といわれても想像がつかない。唸り声に業を煮やされあっさりと「お茶の木」と解答された。
お茶の木に花が咲くの?と疑問が湧いた。茶畑からでは想像がつかないが、美しい花がお軸の中で咲いていた。
枝に留まる青色鮮やかな鳥は「瑠璃鳥」だということらしい。

さて、このお軸の画のモチーフは、中国 楚の文人、陳璵義(チンヨギ)の詩なのだろう。

伊軋籃輿不受催,湖南秋色更佳哉。青裙玉面初相識,九月茶花滿路開。

籠から眺める湖南の秋は美しい。
道沿いにさくお茶の花は満開、地元の青いスカートを履く女の子と楽しい会話もはずむ。
という意味になる。女の子を瑠璃鳥にたとえ描いているようだ。
湖南のお茶はいまも有名である。雁が音のまろやかさが湖南の秋を膨らませてくれた。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

秋蝉は"高潔な人"の象徴

2018-09-26 21:48:02 | 一茶庵「易社」
昨夜の稽古は、前回同様に"蝉一匹"のお軸だった。
前回は「秋蝉(しゅうせん)」として復活を意味するストーリーだった。
さて今回は、どんなテーマの秋蝉になるのか楽しみに話が進んだ。

そのテーマは「高潔な人」。中国の古典には蝉は高潔な人の象徴として
よく登場しているようだ。ご存知のように、
王朝時代から官僚登用試験である「科挙」がある。
この試験を合格しエリートとして中国全土に官吏として赴任していく。

その官吏を蝉に比喩することが多い。地方を治める苦しさや軋轢が
官吏を孤独にしていくことが多い。秋に鳴く蝉は、
官吏が郷里を思う心情とかさね表現されることが多いようである。

今夜は雁が音を愉しんだ。魚眼まで湧いた湯に雁が音ん入れ、
そしてその後また湯を注ぐ中投法で淹れた。まろやかさに少し渋さを感じながら夜長を楽しんだ。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

王安石の心情を六言絶句に。

2018-09-13 16:33:43 | 一茶庵「易社」
今夜(先日)のお軸は、蝉が一匹。
漢文漢詩的には、蝉はこの時期によく登場する題材の一つである。
中国では秋蝉(しゅうせん)といわれ、騒がしい比喩に使われたり、
また地中から出てきたセミは復活の象徴とされている。
玉(ぎょく)などをセミの姿に彫り、復活の装飾品にしている。

今夜のお題は、北宋の政治家であり文人として名を馳せた王安石の
「題西太一宮壁」。漢詩としては珍しい六言絶句である。

柳葉鳴蜩綠暗,
荷花落日紅酣。
三十六陂流水,
白頭想見江南。

非常に高いレベルの詩のようだが、われわれにはその凄さは読みとれない。
訳すならば、

柳葉鳴蜩緑暗
柳の樹でセミが鳴き、柳の葉が色濃く繁り暗くなっている。
つまり、騒がしい批判の声があがっており、鬱陶しい。そんな時期の暗さを表現している。

荷花落日紅酣
蓮の花は、沈もうとする太陽に花が紅に染まっている。
今は絶頂期であるものの、やがて衰頽期を迎える。

三十六陂流水
三十六の湖沼が四方八方に広がって流れている。

白頭想見江南
これを見ると故郷の江南を思い浮かべ故郷を聯想(れんそう)する。
そこで隠棲したいものだと想いを馳せる。

ということになる。
蝉を引用しながら、柳の草色、太陽の赤、流水の水色(茶色?)、
そして白髪の白など、文字で色合わせを楽しんでいる。
人生の終焉には故郷を偲ぶのは人の常なのかもしれない。

中秋にはやはり雁が音があう。





コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

真夏の夜に、冷水の煎茶が喉を下る

2018-08-02 21:28:54 | 一茶庵「易社」
老人はのんびりとひとりで酒を傾けながら爽やかな風を肌に感じながら優遊自適に画や書を楽しむ。
といった訳になるだろうか。さらに深読みすれば、俗世から離れ、寂しさ切なさの心情があらわれているような気がする。

お軸を詠み解きながら、冷水で淹れた煎茶を楽しんだ。一煎目は二つある急須の一つに冷水を適量注ぐ 。そしてもう一つの急須に移しかえる。茶葉を計り、湯のみをふく。計った茶葉を空になっている急須に入れる。そこに移しかえた急須の冷水を入れてしばし時間をおく。茶葉が冷水を吸って葉が開く。飲みごろである。
夏に淹れる煎茶の醍醐味である。爽やかな味が喉を下る。そして二煎目も。

夏の暑い夜に、酒ではないが、煎茶で舌鼓をうちながら悠々な時が流れる。そんな稽古をさせていただいた。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする