お軸(写真)に、このような詩が書かれていた。
幾日霜風木葉乾,湖山深處水雲寬
閒情每向無人得,落日孤亭枕石寒
風や霜がおり木の葉は乾き、
深い山、湖に雲が広がる。
この広いところに人の気配はない、
日が暮れひっそりとした小屋で石の枕が寒々しい。
この詩から想像すると、旅人が野宿に立ち寄ったのか、あるいは誰か寂しく隠棲しているか。どちらにしてもその情景が浮かんでくる。
中国の故事に、「漱石枕流(そうせきちんりゅう)」という熟語がある。この意味は、自分の失敗を認めず、屁理屈を並べ言い逃れをすること。負け惜しみの強いこと。という意味である。
この言葉は、三国志に登場する西晋の政治家である孫楚が間違って、「枕石漱流」というべきことを「漱石枕流」と言い、間違えを認めず屁理屈を並べて言い逃れたことから、この「漱石枕流」がそのまま故事として使われるようになった。
ご存知、夏目漱石は、この故事を引用し、雅号とした。漱石自身も、名前につけるくらいこの故事が気にいっていたことになる。つまり、漱石自身も頑固で屁理屈が好きな人だったのかと想像してしまう。
煎茶の淹れ方の基本である、水から茶葉を煮る「煮茶法 」、湯から茶葉を煮る「烹茶法」、そしてその中間の「中煮法」がある。
それぞれの淹れ方で、秋月の輝きと美しさを想い浮かべながら夜長を楽しんだ。