写真にあるお軸、漢字で埋め尽くされている。もしかして、お経? さっぱり分からない。
聞くと、茶の効能を巧みに詠い上げた茶詩、ということだった。茶の歴史の中でもっとも偉大な茶詩の一つということのようだ。作者は、唐の時代の「盧同(ろどう)」という人。お茶のことを知り尽くした上の詩だが、滑稽な表現に少し笑えてくる。
書かれている内容の一部の訳を紹介すると
一碗飲めば、喉を潤し。
二碗飲めば、孤独もなくなる。
三碗飲んで、俺のはらわたの中を探ってみると 文字五千巻が浮かんでくる。
四碗飲めば、軽く汗ばみ 平素の不満も毛穴から散っていく。
五碗飲めば、肌も骨も清らかに。
六碗飲めば、仙人にもなった気分でいられる。
七碗で、もうこれ以上飲めなくなり ただ、両脇からそよそよと清風が起こるだけ。
ということが書かれてある。
煎茶は、この茶詩にように六碗も飲めば仙人にもなった気分を味わえるということなので六煎まで淹れることもある。その時の煎茶席では四煎までだったので、平素の不満が解消できたはずであるが、さて、さて・・・
リポート&写真/ 渡邉雄二 軸/ 文人会一茶庵 絵/ 不明