ライブ インテリジェンス アカデミー(LIA)

日本の伝統文化の情報を国内外に配信していくための団体です。 その活動を通じ世界の人々と繋がっていく為の広報サービスです。

向島巡り。新しい思い出が、また一つ。 

2020-08-30 16:18:45 | 地域発展

尾道駅側からいくつかのフェリーが向島との連絡船として運航されている。
その一つである、駅前から出るフェリーは、私が半世紀前に高校通学で使っていた。その歴史は古いと思う。人、自転車、バイクのみが乗船できる小さな船である。それが、いまも変わらず、片道5分ほどの所要時間で、利用する人の交通手段として重宝されている。その昔と変わらぬ風情が残っているので、思い出に浸るものには嬉しい。



通学に使っていたこのルートのフェリーは、片道100円という安い値段である。当時は、いまの十分の一の10円だったことを記憶している。
向島の船着き場から歩いて数分の所に母校があったが、平成15年に統合され廃校になった。いまは、他の私立中学校・高等学校が、当時の母校の校舎を改修し使っていたが、当時の面影がいまも残っていた。

母校をあとにし、陽射しが照りつける中、歩いて15分のところに昭和の雰囲気を漂わせるラムネやサイダーをつくるお店に向かった。このお店は旅雑誌や女性誌にもよく取り上げられている。せっかく機会なので寄ってみた。
私と同世代と思われる笑顔の可愛らしいご夫人が事務所から出て来られた。雑誌等でもよく見かける顔だった。まさに昭和の”看板娘”。
もう80年近くラムネやサイダーを製造しているという。しかしながら、ラムネをビンごと持ち帰ることは出来ない。ビンは製造していないので、ここで飲んで行ってほしいとのことだった。



子供の頃、いつも飲んでいたラムネ。この炭酸が、照りつける陽射しの中で、喉を潤す清涼剤になった。話している最中にもひっきりなしにお客さんが立ち寄っていく。
しまなみ海道をツーリングするライダーや車で訪れる人たちも昭和の味を求めて立ち寄っていくようだ。
3年前の出来事だったが、時は過ぎ去り、また一つ想い出の中に加わった。機会があれば、再びこの地を訪ねることが楽しみである。

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大阪木津卸売市場、リニュアルオープンして12年。大阪の台所として益々活気あふれる。「改革じゃああぁぁぁ~!!」で人も変わった。 【大阪木津卸売市場 追想】 

2020-08-29 14:45:20 | 木津市場

ちょうど12年前、長い歴史を持つ、大阪の台所と言われた「大阪木津卸売市場」の改革が2008年の4月に第一期リニュアルオープンでスタートした。
大阪木津卸売市場は、大阪ミナミあるナンバパークスの南へ歩いて5分のところ。そして市場から東へ徒歩5分の所には、商売繁盛の今宮戎神社がある。なんば高島屋から南地域が再開発として少しずつ動いている。その中心にあるのが木津卸売市場である。

歴史をもつ木津市場は、その永年の紆余曲折を経てやっと「改革」への一歩を踏み出している。200以上の専門業者の方たちが軒を並べ一心同体で護り続けてきた「卸売市場」。世代を超えて続いてきた大阪の食材卸の名門が変わろうとしている。
市場を形成しているのが市場会社、市場協会、荷受会社(セリ会社)、そして5つの組合(仲卸)から成り立っている。その組合は鮮魚、青果、蔬菜、塩干、その他関連である。関連の中には飲食店や道具店なども含まれる。
木津卸売市場は昔ながらの雰囲気がいまだ残っている。しかしながらこの2年ですべてがリニュアルされる。このレトロ感覚がなんとも言えない味を醸し出している。だから、いい、という人も少なくない。



第一期リニュアルでは青果、蔬菜(野菜青物)、一部関連の店が入る。建物が新しくなることで、今までの改革の波にあわせるかのように人の意識も変わりつつある。古くから人と人との関わりで、顔を見て商売をしてきている。セリといわれる慣習で価格などのバランスがとられる。そのような形態は時代に合わないとまで言われているが、人がいてこそ商品の価値や安全性が保たれている。
伝統のある知恵や工夫はこれからもしっかり守り続け、新しい風にのってこれからの時代に寄り添う市場として生まれ変わろうとしている。実に楽しみである。元気印の木津卸売市場が蘇る。



今回、宣伝・事業企画関係を担当させていただいているのが私の会社である。まずポスターに使った文句が『改革じゃあああああ!』(写真)の怒鳴り声をイメージしたもの。そしてラジオCMもこの勢いを売りにしている。今回MCを担当していただいたのが元毎日放送のアナウンサーの青木和雄さん。
青木さんといえば、関西では"青ちゃん"という呼称で人気のあるアナウンサーである。ラジオでも『改革じゃああぁぁぁ~!』という文言で統一している。その録音を昨日とり終えた。
放送は3月31日からオープン前日までの約2週間、毎日放送「ありがとう浜村淳です」と「さてはトコトン菊水丸」などで流れる。ラジオを視聴している方にはまた聞いていただく機会があるかも知れない。聞いたよ、ってコメントいただけると嬉しい。

※2008年3月に掲載された記事である。

 

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大阪の蒲焼店から信頼の厚いうなぎ専門卸「川上商店」 【木津卸売市場 追想】

2020-08-27 14:20:11 | 伝統文化

大阪のミナミの台所として活気あふれる木津卸売市場。その市場内に元気の源であり、土用の丑の日になくてはならない食材「うなぎ」を専門に扱うお店がある。「川上商店」さんである。プロの板前さんご用達の、鰻の蒲焼き、白焼き、八幡巻きなど地焼き鰻を加工販売しているうなぎ専門店。老舗として関西のプロの板前さんから絶大なる信頼を得て、うなぎは川上商店で、といわれるほど確固たる地位を築いている。

ここ川上商店さんは関西の焼き方にこだわっておられる。ご存知のように、関西は"腹裂き"で調理する。ちなみに関東は背裂き。関西はタレをかけながら焼くのが主流である。そして頭を残して金串を刺す。関東は頭を切り落とし木の串で素焼きし、そして蒸す。食材でこれほどに関西、関東で調理法が異なるものも珍しい。

川上商店さんはいまも炭火焼で、早朝からうなぎの調理職人さんがさばいていく。そして炭にかける。見ているだけでヨダレが垂れてくる。時期によってうなぎの産地が異なる。いまは徳島産、また時期によっては三河産。さまざまな地域から集まってくる。だから最高の蒲焼がいただけるのである。

川上商店さんは市場の関係者さんの朝食ご用達であるが、私が訪れた日は、10席ほどの店であるが外部からのお客様で満杯。ご主人の川上克彦社長さんが自ら焼いて自ら接客の一人二役、三役。そして後ろからサポートしておられるのが奥様である。

四季を通して美味しくいただけるのもうなぎ。栄養価も非常に高い。良質のたんぱく質、カルシューム、ビタミンAやEが豊富なのもうなぎである。焼いたあとすぐにいただけるのも市場ならではの至福である。巨大な卸売市場を見て回るだけでも楽しい。鮮魚あり、青果あり、塩干あり、その他いろんなお店が並ぶ。なんといっても新鮮で安い食材の宝庫である。歩き回ったあとの「蒲焼」は心も胃袋も満たしてくれる。

うなぎのことなら川上商店さんにお尋ねください。ホームページから新鮮なうなぎが買えますよ。必見の価値あり。
http://www.unagi-kawakami.co.jp/

記事は、2008年2月に取材したものです。

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削り節屋さんで談義。 “家庭の風味、復活に燃える”

2020-08-26 15:08:18 | 文化想造塾「逸品殿堂」

前回に引き続いて、2008年リニュアルオープンした大阪の台所「大阪木津卸売市場」を紹介した記事のリメイク版である。今回は、削り節専門「平松商店」さん。


来週の月曜が第一期オープンの日である。青果を中心とした店舗の新規棟がスタートする。(2008年) 会議の前にいつものように市場内をひと回りするのが習慣になっている。いろんな食材の店舗を見て回るのが好きである。市場の活気と市場らしい雰囲気に魅せられている。
今日、立ち寄って店先で立ち話に華(鼻)が咲いたのが「平松商店」。ここは削り節屋さんである。店先に立つと削り節の香りが漂っていた。鼻が全開し、ついつい店内に入り話し込んだ。



削り節は日本古来の伝統食品。これこそ生粋の国産と誇れるものである。昔は素干し、焼き干し、煮干ししていたが、現在は煙でいぶす方法がとられている。さらにバイオテクノロジーの手法を使ったカビ付け法などもある。生の魚にはない風味が醸し出され、日本の独特で絶妙な下味を支えている。
削り節、といえば鰹節(カツオぶし)。誰でもが知っている出汁の最高峰である。他に鮪節(マグロぶし)、鯖節(サバぶし)、鰯節(イワシぶし)、鯵節(アジぶし)などが主な削り節として出回っている。それに各削り節がブレンドされているのもある。
すべて味や風味が異なる。料理によって当然使い分けられる。料理人のこだわりや手法によって独特の使われ方をされるのも面白いとこである。
まず「出汁」、そして「具」。後は料理人の手法とこだわりと愛情が重なりあうと絶品と言われる料理になっていく。一流の料理人になればなるほど削り節を頼りにしているようだ。



平松商店さんで売られているものには、酸化防止剤、防腐剤、着色料などは一切添加されていない。さらに栄養価が高いのが特徴である。高たんぱく、低脂質の食材としていまのニーズにぴったり。そして削り節に含まれるアミノ酸の種類は30種にも。体内で合成できずにどうしても外から摂取しなくてはならない “必須アミノ酸” がすべてに含まれている。また、乳幼児に欠かせないヒスチジンの含有量が高いのも特徴である。((社)全国削節工業協会資料参照)

自然の恵みを、昔からの知恵と工夫により手を加え、いまだ重宝されている削り節。日本の料理の味を支えてきたが、「家庭の風味」として伝わってほしいものである。

先日(2020夏)、TVの放送で見たのだが、若い女性オーナーが 卵かけご飯ならぬ “削り節かけご飯” 店をオープンし、伝統に、一味、二味の “新しさ” を加え、削り節を主役に大人気を博していた。

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忘れかけている「下味」。 【木津卸売市場 追想】

2020-08-25 15:05:21 | 伝統食

ラジオの生放送の立会いの当日、少し早めに着いたので、市場内をブラブラした。気になっていたお店がいくつかある中で、目を惹いたのが国産昆布を扱う「蒲生商店」さん。おじさんが一人で切り盛りされていた。まさに昭和の雰囲気が漂っているお店である。



魚も野菜も大好き人間としては、市場がミュージアムに思えてくる。この感覚はなんだろう。子供の頃の残像が蘇ってくる。瀬戸内海に面した小さな町で育ち、たまたま親戚が蒲鉾屋をしていた。親の都合でよく連れて行かれた。そのときの魚の匂いが脳にインプットされている。そのせいか、いい歳のオヤジになってもここ木津卸売市場が楽しい遊園地のように思えてくる。心が躍るのが自分でも分かる。まして建物や雰囲気が昭和の姿のままである。この姿も残りあと幾日もない。未来に向け取り壊されることになっている。(2008年リニュアルオープンされる)

その蒲生商店さんの前を通りかかると昆布が山済みされていた。ここのお店はほとんどが国産昆布。それも道南の松前町から恵山一帯の真昆布ばかりである。真昆布は山だし昆布とも呼ばれ、数々ある国産品の中でも最高級品の昆布として知られている。肉厚があり幅が広いのが特徴で、上品な甘みのある清澄な出汁がとれるので有名である。その真昆布が店先に積み重ねられている。ほとんどが料亭や料理屋さんなどへ卸されるものばかりである。


とくに関西人の舌を満足させるのは何をさておいても「出汁」である。削り節、いりこ、そして昆布の下味である。日本独特の絶妙な味を支えたのがこれらからとった出汁である。すべて自然のものばかりである。いつの時代にも「おふくろの味」としてこれからも食卓を支えてほしいものである。

※この記事は、2008年春に取材したものです。

リニュアル後の木津市場

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