来年で、五代目桂文枝に入門して40年になる「桂あやめ」さん。上方落語協会の女性落語家として劇場やメディア等の第一線で活躍されている。もうかなり前になるが、学校公演で、女性ばかりの上方の伝統芸能に携わる演者の方たちの一人として登壇いただいたことがある。それを機会に、あやめさんの落語会に伺うようになった。
そのスタートが、10年近く前になるが、神戸朝日ホールで行われた独演会「あやめ開口三十周年~神戸モダン~」だった。とにかく "笑った、笑った"。久しぶりに笑わせてもらったことを記憶している。その時のことを綴った記事を少し加筆しまとめてみた。
あやめさんは、五代目桂文枝(当時は小文枝)に入門して30年。当時は、女性の落語家は珍しく華やかにデビューしたものの、落語のネタは男が語るように作られている。その筋道や所作も女性が演じるには少々無理があるとして考え付いたのが現代版落語(創作落語)の道である。
創作落語ネタ一筋に歩んできたあやめさんの開口三十周年独演会に、同じ兵庫県出身の兄弟子、桂文珍さんがゲストで登場。また開口一番として、若手期待のホープで、灘中灘高そして京都大学法学部卒業の異色の落語家、桂福丸さんがつとめた。
あやめさんの最初の演題は「京阪神日常事変~神戸スペシャル」という内容のものだった。会場は笑いと拍手の渦。腹を抱えて笑った。
25年前作ったネタで、若い女性3人組のトーク噺。大阪女子、京都女子、そして神戸女子の3人が同じ関西人なのにこんなにも気質がちがうかというのをツッコミあうネタである。今回は、神戸女子目線で面白おかしくリメイクしたものを披ろう。
二番目の演目は、「あやめ版 平家物語」。平家を支えた女性3人が現代に生まれ変わって、その頃のことを思い出しながら面白おかしく喋りまくるネタで、これまた大爆笑。
ともに、あやめさんならでは創作落語である。男の世界で長年生き抜いてきた、その力は鍛錬以外なにものでもない。そして “桂あやめオリジナリティ” を完成させたことが40年という歴史をつくってきた。これからさらに円熟味を魅せてくれるだろうと思う。落語ファンとしては、陰ながら応援していきたいと思っている。
※この記事は2012年10月の「心と体のなごみブログ」に掲載し、それに加筆し転載。