ライブ インテリジェンス アカデミー(LIA)

日本の伝統文化の情報を国内外に配信していくための団体です。 その活動を通じ世界の人々と繋がっていく為の広報サービスです。

天龍寺に宿る「達磨大師」の表情に惹かれて

2021-01-22 15:33:53 | 寺社絵画

京都 天龍寺では、拝観受付の正面に達磨図が飾られている。

庫裏の奥にある書院の床間にも達磨図のお軸が掛けられている。

筆者は同じ人だと想像はつくが、庫裏の達磨さんは赤の法衣を頭から覆っている。

一方、書院の掛け軸の絵は黄色の法衣である。

 

 

訪ねた際に眺めては手を合わせる。とくに天龍寺の達磨さんはとてもいい表情をされているように思う。

昔から睨めっこする相手が達摩さん。勝てる相手ではないにも必死に厳しい顔を笑わそうと頑張った記憶がある。オバケと達摩さんは怖いものだとインプットされている。

大人になって、達摩さんは中国のお坊さんであり、インドから仏教を中国に伝えた偉い僧侶、達摩大師であることを知り、それ以来、厳つい表情を含めファンになっている。

 

天龍寺に掲げてある黄色と赤の袈裟の着ている達磨図は、インドでは僧侶の袈裟は黄色が使用されている。一方、日本の起き上がり小法師としての達磨さんや達磨図のほとんどが赤色を基調とした袈裟が一般的である。

日本では、古来から魔除けとして火の赤がよく使われる。その効果があると信じられていることから、達摩さんのあの怖い顔には魔除けの僧侶としての姿が似合い定着した。

そして、もう一つ達磨さんには大きな役割が授けられている。それは、起き上がり小法師の達磨さんである。9年という長い間、面壁坐禅で修業した達磨さんの坐禅姿が倒れても起き上がり小法師に写され、達摩さんは不撓不屈の精神の象徴とされている。

 

天龍寺の受付入口の達磨図は、少し苦みばしり、お軸は少し穏やかな表情をされている。筆者は穏やかな方だろうと推測するが、絵のそばにあった木版には達摩図とあり、その横に天龍寺前管長 平田精耕 筆と記してあった。

 

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臨済禅師の大口から「喝」が透けて見える

2020-12-02 15:11:38 | 寺社絵画

明治、大正、昭和と京都画壇で活躍した日本画家の都路華香(つじかこう)が臨済禅師を描いた画(写真は複製)である。見てのとおり、大きな口を開けて吠えている姿。「喝」という表題がついている。「喝」というのは、禅師が禅の神髄を端的に示した言葉といわれている。

先日、京都散策で雲龍院のあとに、訪れた建仁寺の書院に掛けられていたお軸に画である。            

その横に、臨済禅師の「喝」と題した解説パネルがあった。

それによると、喝は物事の意味を示さないが、四つの働きがある、と記されていた。

その四つとは、

・煩悩・妄想の迷いを断ち切る喝

・目覚めよ。と、ふるいたたす喝

・かかってこい。と、本気にさせる喝

・平常心是れ喝。と、大きな喝

これを読むと、一番目の煩悩・妄想は宗教的な観点から捉えた「喝」に思えるが、他の三つは社会性に富んだ「人間向上への足掛かり」の喝のように思える。教育、スポーツ、仕事などの場面で「己との闘い」に欠かせない働きをもつ言葉である。それを平易で直接的な言葉で表現されている。非常にわかりやすい「喝」だと思い、改めてお軸を見返した。

大きな口だな~、この口から「喝」という吹き出しが透けて見えてきた。

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南禅寺三門の上層五鳳楼の内陣の魅力を堪能 Enjoy the charm of the inner camp of the upper Gohoro of Nanzen-ji Sanmon

2020-09-27 16:44:49 | 寺社絵画

南禅寺は若いときから幾度となく訪れた、大好きな寺院である。広大な境内に禅宗七堂伽藍が東西に並んでいる。臨済宗の寺院において、京都五山の中では別格という特別な寺格の有する寺院。その玄関にあたる山門(三門)は、日本三大門の一つに数えられている。

三門とは、仏道修行で悟りに至るために透過しなければならない三つの関門を表すといわれている。「空」、「無相」、「無作(むさ)」の三解脱門(さんげだつもん)と称した呼称である。山門ともいわれ寺院を代表する正門であり、禅宗七堂伽藍(山門、仏殿、法堂、僧堂、庫裏、東司、浴室)の中の一つである。南禅寺の三門は別名「天下竜門」とも呼ばれ、上層の楼を五鳳楼と呼ばれている。

現在の三門は1628年に再建されたものであり、禅宗様式独特の圧倒的な量感と列柱群が力強さを示している。

今回は、兎にも角にもこの三門の上層の五鳳楼に上がることのみを目的に訪ねた。いままでに上ったことがなかったので、この機会にと。内陣の本尊(宝冠釈迦座像)や十六羅漢像や脇侍の仏像を観ることに加え、狩野探幽、土佐徳悦の筆とされる、柱や天井一面に描かれている極彩色の図画をゆるりと拝見することができた。内陣には入れなく、小窓から覗き見ながらではあるが堪能した。

また、上層の楼から360度の景色は圧巻だった。西南には木々を越えて霞む京の街を臨んだ。

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狩野光信の蟠龍図の龍が睨みをきかす。 「龍をたずねて―」シリーズⅢ ―相国寺―

2020-03-16 15:08:09 | 寺社絵画

京都御所の北の門、今出川御門の前の通りを北へ行くと相国寺がある。

正式名称は萬年山相國承天禅寺(まんねんざんしょうこくじょうてんぜんじ)という。

十四世紀末、室町幕府三代将軍の足利義満により創建された禅寺。

境内には本山相国寺をはじめ、十三の塔頭寺院と、山外塔頭に鹿苑寺(金閣寺)、

慈照寺(銀閣寺)、真如寺がある。さらに、全国に百カ寺の末寺を擁する巨大禅寺である。

余談であるが、京都の禅宗系には五山之制というものがある。

京都五山の寺格を表すものらしい。その第一位が天龍寺、第二位が相国寺になっている。

ちなみに第三位が建仁寺、そして東福寺、万寿寺と続く。

では、あの南禅寺は?というと「寺格五山之上」ということらしい。つまり、最上級位にあたる禅寺になる。


さて、本題の相国寺の天井画は龍図である。慶長10年(1605)相国寺の法堂が創建されたときに、

安土桃山時代の狩野派総師、狩野光信によって描かれたものである。

本図は、円相内に龍の全容をくっきりと描き出されていて、彩色も綺麗に残っている。

しかしながら、円相外に雲が描かれていたようだが、剥落し、今は僅しか残っていない。

堂内中央付近で手をたたくと、天井に反響してカラカラという音が返ってくるので、

別名「鳴き龍」ともよばれている。訪れた折にはぜひ手をたたき楽しんでいただくのもよい。

龍図は、雲龍図の中の双龍図、蒼龍図のひとつで、とぐろを巻き天に昇らない龍を描いた図

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水をつかさどる神 “龍” の存在。 「龍をたずねて―」シリーズⅠ

2020-03-15 16:06:18 | 寺社絵画

禅寺系のお寺を訪ねると龍の絵画をよく目にする。それは襖や壁、そして天井などに描かれている。

それらを観るのが楽しみのひとつになっている。

そもそも龍は、仏教を護る八部衆のひとつで、"水をつかさどる神"として中国から伝わってきた架空神仏である。

水の神仏として火から家を護る象徴になっている。さらに、中国では、

松が龍に例えられ天に昇る意味から繁栄の象徴ともいわれている。

だから、お寺の三門や家の門等にも松が植えられているのも、そういう謂れがあるからのようだ。
とくに、禅寺系の本山では、住職が仏法を大衆に説く法堂(はっとう)の天井に龍が描かれているのが多い。

それは法の雨(仏法の教え)を天井から降らすという意味もあるようだ。

禅寺といえば、基本的には「臨済宗・曹洞宗・黄檗宗」の三宗派である。

全国にある禅寺でも龍の絵画を楽しむことはできるが、各宗派の本山は京都に集中しているため、

「龍をたずねて―」の紹介は京都に限らせていただく。その本山の中でも非公開や、

撮影できないところがある。それはご了承ください。

公開予定は、建仁寺、妙心寺、大徳寺、天龍寺、相国寺を予定している。

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