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隠逸詩人、林和靖と素心

2019-02-03 11:50:09 | 一茶庵「易社」
先日の煎茶稽古では、久しぶりに隠逸詩人 林和靖こと「林逋」が取り上げられた。
北宋初期の代表的な詩人として、いまもその名声は伝え継がれている。
若くして身寄りがなく貧しい生活をしながら詩を学び、杭州西湖のほとりの孤山に隠居。
生涯独身を通し、梅と鶴を伴侶とした生活を送ったといわれる詩人である。
林和靖の詩の中でも、とくに梅花と西湖の美しさを詠った「山園小梅」は最高傑作として、いまの時代にもよく登場する。

掲げられている、このお軸がどのように「山園小梅」につながっていくのか、この時点ではまったく理解できてなかった。
見ての通り、お軸に描かれているのは、今年の干支「猪」のようである。
その猪が何を見ているのか、ということになる。その横に描かれているのは、たぶん梅と思われる。
「その梅だけど、なにか変とは思いませんか」、という宗匠からの問いかけに答えは見つからなかった。
宗匠曰く、梅というのは、お軸に描かれているように、枝は下に垂れていくことはない、という。
枝が横に広がり、その枝から上に向く性質を持っているから、と。
では、なぜあのように下向きに? と問われてみても・・・。

お茶は “素心”という淹れ方で煎茶をいただいた。急須に煎茶をたっぷり入れ、その中に水柱にいれていたお湯(ぬるめ)を注ぐ。
お猪口ほどの湯呑に半分程度の量である。入れてしばし待つ。そして湯呑にそそぐ。
煎茶のまろやかさが存分に味わえる一煎目である。そして二煎目はさらにぬるくなったお湯を直接急須にいれる。
また、しばらく待つ。二煎目は、予想通り渋味がたってくる。この渋味が “素心”のだいご味である。
三煎目はスペシャルが用意された。渋くなった茶葉にお酒をそそいだ。少し時間をおいて湯呑につぎ分け試飲。
おいしい味とは言えないが、年はじめのお屠蘇がわりに、と。
<つづく>





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