久々にライブ・レポートなんである(笑)
今回見てきたのはチューリップである。チューリップ!そう、あの「心の旅」や「虹とスニーカーの頃」といったヒット曲で知られるチューリップだ。今年でデビュー35周年だそうで、一時期解散していた事もあったけど、浮き沈みの激しい業界で、これだけ長きに渡って活動を続けてきた(しかも、商業的にも成功した)彼らに、素直に敬意を表するものである。
チューリップ。中学時代の友人にチューリップのファンがいて、アルバムを何枚か聴かせて貰った事があるので、それなりに馴染み深いバンドではあるし、その作品の質の高さも十分に分かっているつもりだけど、決して思い入れのあるバンドではない。一度はライブを見てみたい、とは思っていたが、自分でチケットを手配する程ではなかった。が、今回、去年「関西ロック・セッション」でご一緒して、それ以来懇意にして頂いているyy乙さんが、チケット余ってるので行きませんか?と呼びかけていたので、行く事にしたのである。yy乙さん、ありがとうございました。
という訳で、去る11月11日の日曜日、大阪フェスティバル・ホールへ行ってきたのであった。で、その初体験のチューリップのコンサートの模様を簡単にレポートさせて頂く。
客層
フェスティバル・ホールの入り口でyy乙さんやお友達の皆さんと落ち合い、雑談をしながら、会場へ入っていく人たちを見ていると、明らかに年齢層が高い(笑) 女性はほとんど主婦と思われた。だいたい年のころ40代から50代ってとこか。10代から20代にかけて(つまり約30年前)、チューリップに夢中になった世代と見た(笑) 夫婦と思しきカップルも多かったな。自分たちの青春とも言えるチューリップが、今もまだ活動し続けている、というのは本当に嬉しい事だろう。
ステージ
今回の席は、一階真ん中より少し前の下手寄り。ステージを見るには、やや斜めだけど良い席だ。舞台は実にシンプル。さすが、サポートメンバーをゴロゴロ連れてくるのが当たり前の現在においても、5人だけでステージを務めるチューリップらしい。それだけでも、期待が高まるのを感じる。
ライブスタート
開演になると、まずステージ上に用意されたスクリーンに、懐かしの映像が映し出される。昔のコンサート映像だ。彼らも、80年代初頭から、大規模な野外ライブとかやってたんだよね。雨の中でのライブ映像もあった。
と、映像を見ていると、いつの間にかメンバーがステージに姿を現していた。で、楽器を抱えると演奏スタート。残念ながら、一曲目も二曲目も知らない曲だった^^;
財津和夫
そのオープニングと次の曲は、チューリップの中心人物である財津和夫がリードボーカルだった。変わらないなぁ、この独特の声。何でも、来年還暦という話だけど、全くそんな感じしなかった。客席から見る限り、体型も変わってないみたいだし。他のメンバーも、若々しく全員50歳を超えてるなんて思えなかった。カッコいいオジサンだちだ(笑)姫野を除いては(爆)
姫野達也
財津のボーカルで2曲やって、その後姫野のボーカルで3曲。確か、「悲しきレイン・トレイン」もやってたぞ。姫野は、昔は一番女性ファンの多いメンバーだったけど、その童顔とちょっと太ってしまった体型が災いしてか(失礼)、とっちゃん坊やみたいな感じだった(笑) 後のMCで財津に「ちょっと、ちょっと、ちょっと」と突っ込まれていて、ま、確かに言われてみればその通り(笑) でも、この人、ギターにキーボードにコーラスにと大活躍。アコースティック・ギターなんて、凄く上手い。演奏面では核と言っていい存在かも。
安部俊幸
この人が、こんなに喋る人だと思わなかった(笑) 昔から、一切歌わない人だったし、寡黙な人なんだ、と勝手に決めつけてたけど、そうではないらしい(笑) 歌わないのに、常にマイクは立てていて、実はこれMC用なんだそうな。で、この日のライブでも、MCは安部・財津の両氏が担当し、適度に笑わせてくれて良かった(笑)
もちろん、ギターも良かった。この人のギターが、ある意味ではチューリップのサウンド・イメージを決めていると言ってもいい。カーズに於けるエリオット・イーストンみたいなものだ(意味不明)。ただ、不満があるとすれば、曲のエンディングにギターソロが入る時でも、あっさりと終ってしまったこと。一周しておしまい、みたいな感じで、もっとソロ弾けばいいのに、なんて思った。歌中心のバンドだし、ギターソロで曲を引っ張る、なんて性に合わないのだろうか。勿体ないなぁ。もっとソロを聴きたい、なんて曲も多かったんだけど。
ブルー・スカイ
途中、安部のMCでこの曲が紹介された。「1977年にシングルで発売した曲で...」なんて話し始めた時は、咄嗟には思い出さなかったんだけど、この曲が聴けるなんて思ってなかったので、感動してしまった。この曲大好きだったのだ。中三だったっけ(笑) そんなにヒットしなかったのかもしれないけど、FMでよく聴いてたし、10年程前に買ったチューリップのシングル・コレクションの中でも、僕にとってはこの曲が一番輝いていた。30年経っても良い曲は良い。個人的には、この日のハイライトだったかもしれない(笑)
この空の明るさに、まぎれながら生きていこう、悲しみが来る前に
上田雅利
この人が、一番若々しくカッコ良かったかもしれない。ドラマーだけど、コーラスもするし、リードボーカルも披露した。余談だけど、確か僕と誕生日が1日違いだったはず(だから?)
やや話が逸れるけど、この人のドラムは不思議だ。彼のスティックさばきに注目して頂きたいのだが、スティックを握って叩いている。それがフツーだろう、と思われるだろうけど、正確にはスティックは持つものであって、握ってはいけないのだ。ドラムを叩いてみた事がある人も多いと思うが、ドラムのヘッド(皮)を棒で打つと反動(跳ね返り)があり、それに負けまいとつい固く握ってしまうのだが、握ってしまうと、腕を大きく振らないと叩けなくなる。そうなると、効率が悪くなって、細かいオカズや早いリズム打ちといった連続するブレイがやりづらくなる。だから、スティックを軽く持って、腕ではなく手首で叩く感覚を身に付けないと、ドラムは難しいのだ。上手い人のプレイを見ると、手首でスティックを動かしてるのが分かると思う。
所が、上田はスティックを握っている。当然、腕の振り幅も大きい。けど、リズムが遅れたりする事はない。素人があんな叩き方をしたら、5分もすれば疲れてしまう。また、スティックを握ってしまうと、反動を利用するのではなく、スティックをヘッドに押しつけるような叩き方になるので、音も良くないはずなんだけど、上田にはそういうのもない。不思議だ。
たまにいるんです、そういう人。高橋幸宏なんかもそうだな。
心の旅
てっきりアンコールかと思っていたら、中盤で演奏された。やはり名曲中の名曲である。なんてったって、言葉とメロディのマッチングが絶妙だ。“あぁ、だから今夜だけは、君を抱いていたい”の部分は、この歌詞にはこのメロディしかないし、このメロディにはこの歌詞しかない、というくらい、ピッタリ合っている。故に覚えやすく印象に残るのだ。素晴らしい。財津は、この曲が出来た瞬間、絶対ヒットする、と確信したろうな。
そういえば、チューリップの代表的なヒット曲、例えば「心の旅」「銀の指環」「僕がつくった愛の歌」といった曲のリード・ボーカルは姫野である。聞いた話だと、財津が歌うより姫野が歌った方がヒットする、というのでレコード会社から圧力がかかったとか(笑) でも、確かに曲の雰囲気には、財津の声より姫野の声の方が合ってるような気がする。
あ、「風のメロディ」をやってくれたのも、嬉しかった。
宮城伸一郎
オリジナル・メンバーの吉田彰が脱退した後に加入した人だ。よって、あまり知らない(笑) でも、クセのない声質で、コーラス重視のチューリップには欠かせない人だろう。リード・ボーカルも披露してた。姫野の声と似てるかな。でも、この人も50超えてるとは思えなかった。半袖だったし(笑)
虹とスニーカーの頃
間違いなく「心の旅」と並ぶ、チューリップの代表曲だ。こちらのボーカルは財津だけど(笑) 良かったね、ヒットして(笑) MCでも、「この曲がヒットしたから、今まで続けてこれた」と言ってたけど、本当にそう思う。1979年というのも絶妙のタイミングだったような気がする。しかし、これも中盤で早々とやってしまった、という感じ。いいけど(笑)
銀の指環
派手さはないけど、ゆったりまったりという雰囲気でライブは進み、お約束のアンコール。で、その2曲目に「銀の指環」は演奏された。これも名曲である。流行った当時は、「心の旅」よりいいと思ってた。なんたって、寺尾聰より先に“指環”という単語を使ってたのだ(爆)
魔法の黄色い靴
2回目のアンコールで、この曲を観客と合唱する。きっと定番なのだろう。マイク片手に動き回る財津が、実に楽しそうにしてた。最後に盛り上がって終わるのもいい感じ。難を言うと、観客が歌う時、演奏を止めてもよかったのではないか。アカペラで大合唱。これ以上の盛り上がりはないよね。
総括
という訳で、レポらしい事も書かないまま、分量だけは増えてしまった(爆) チューリップというバンドは、元々テクニックより雰囲気をウリにするバンドであり、その個性が存分に発揮されたライブだっと思う。ヒット曲ばかりでなく、地味目な曲をたくさん演奏してたのも、懐メロバンドではない、という意志表示のように感じられて頼もしい。今回のツアーをもって、活動停止する、なんて話も聞いたような気がするのだが、会場で配られたチラシにもそんな事は書いてないし、ライブ自体もそんな雰囲気は微塵もなかった。やっぱり、チューリップは走り続けていくのだな、という感を強くしたライブだった。『run』と新作でも歌っているように。
いつまでも、走り続けて下さい。
では、最後に今回の獲物(笑)
やっぱTシャツなのだった(笑)
こちらは裏です(分かるって)