- 科学・技術は図像によっていかに伝承されてきたかがテーマ。
科学・技術の発展に図像が果たした役割は大変大きい。日本の職人の風景では、刀匠の仕事場ではどのように刀が作られているかが描かれ、宮大工の仕事ぶりが紹介されている。アグリコラによる鉱山開発の方法、灯台の土木工事、ダ・ヴィンチのアイデアスケッチなどが紹介される。また科学の世界でも天体や動植物の記録やアイデアを補足するうえで、図像の存在は欠かせない。文章だけでは伝えきれないイメージを固定させる意味で、図像の果たす役割は大きかったと言える。普段、仕事の中でも他人への説明に図像を使う利便性は感じている。パワーポイントのようなプレゼンツールが流行るのも図像の分かりやすさを誰もが認識しているからだろう。
ただ、この本で気になった記述があった。
顕微鏡の発明者レーウェンフックは絵が下手で、助手に書いてもらっていたらしい。「動的平衡2」の福岡教授は、同じ時期にデルフトに居たフェルメールではないかと推測している記述があったが、これは既に結論が出ていて、トーマス・ファン・デァ・ヴァルトとその子ヴィレムと判明している。専門外の福岡教授は独自の推測で自説を本・雑誌等に書いていますが、科学史を研究している専門家は、一歩先を行っているように思いました。