キマグレ競馬・備忘録

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本「騎手の一分」 

2013年11月07日 | Book

藤田騎手はとても個性の強い騎手だが、この本を読むと渾名とは違って至って真面目な感じを受けた。毎年のようにフェアプレイで表彰され、重賞もデビューから20年も継続して勝っており、騎乗技術もモラルも実績にも自信があるから、このような本が書けるし、競馬ファンの間で評判になるのだろう。
この本では、競馬システムの紹介、現在の競馬興行の傾向、騎手仲間のことや騎乗技術のことを思いつくままに?褒めたり批判したりしているけれど、総じて批判の矛先はJRAの不合理な制度に向けられているようだ。JRAの制度批判は、馬主からも競馬記者からもあるが、所属する当事者もいろいろな問題を抱えながら騎乗を行っている。騎手減少の問題、若手騎手育成の問題、乗り替わりの多さ、エージェント制度、調整部屋の問題など、将来の競馬興行に関わる懸案について、自身の見解や不満を述べている。
率直な感想として、彼の不満もよく判るし、競馬をより良くしたい気持ちもよく判る。でも本文中に何度も書いているが、「俺はいつでも辞められる」というスタンスで物を言っても、何も変わらないような気もする。もし競馬興行が利益を求めないボランティア事業であれば、彼の意見を取り入れた制度にできるかもしれないが、ギャンブルでは、誰もが利益重視であり、不合理であっても興行主のルールに従うしかない。もし彼が本気でJRAの制度を変えたいのなら、JRA組織の頂点に立って提言するしかないのでは、と思った。
それはともかく、騎手の裏事情がよく判って、一競馬ファンとしては面白く読めました。


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