キマグレ競馬・備忘録

競馬、MLB、スポーツ観戦、趣味など気になる事を書いています。

本「青い地図~キャプテン・クックを追いかけて」

2019年02月06日 | Book

キャプテンクックの足跡を辿る旅。
キャプテンクックは未知の大陸を探して3度の太平洋の航海を行った。
その距離は月へ行くのと同じくらいだったそうだ。小さな木造船でしかも風だけを
頼りに過酷な航海を続けた。
著者はクックが残した足跡を探して旅をする。21世紀の現代においても、
クックと同じようなルートを辿ると結構辛い目に合う。
著者は船や飛行機を利用しているが、クックが立ち寄った海岸や島々は、
辺鄙な場所にあるため、訪れるのに苦労している。そして訪れたその場所で、
クックや関わった人達や出会った未開人たちについて考察している。
キャプテンクックはその名前は知っていても、実際にどのような航海だったのかは
全く知らなかった。貧しい家庭に育ち、家庭を顧みず、何度も取り憑かれたように
未知の航海に出掛ける彼は、真の航海者だった。
船長として船や乗組員に対する責任を全うして大きな成果を挙げた。
彼は自身の航海について克明な記録を取っており(航海の目的が未知の大陸発見と
測量にあったため)、当時の太平洋の様々な人達の生活や風俗を知ることができる。
印象に残ったのは、規律が厳しい彼の船では、航海の宿命的な病気と言われた
壊血病を患う乗組員が一人も出なかったという事実である。彼は船を常に清潔に保ち、
寄港した場所では新鮮な食物や果物を食べさせていたことが病気を防ぐことになった。
但し、これは科学的な裏付けが取れておらず、たまたまそうなっただけで、
彼自身には壊血病の原因は判っていなかった。そうやって助かった乗組員が、
寄港地のジャカルタで辛い航海の鬱憤を晴らすように遊んで風土病や性病に罹って、
約1/3の乗組員を失ってしまったというエピソードには悲しい気持ちになった。
人間は欲望には勝てないらしい。
紀行本の良さは、著者自身が経験したことや考えたことを、読者が時空を超えて
追体験できることにあると思う。この紀行本では、クックの航海の紹介と
著者自身の旅やエピソードを織り交ぜていて、大変面白く読めた。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする