旅行添乗員によるノンフィクション。
著者は66歳の派遣添乗員で、さまざまな職業を経て五十歳になってからこの仕事に就いた。これまでの添乗員の仕事や出来事を振り返る形で、様々なエピソードを紹介したのがこの本。添乗員さんの仕事内容、裏事情を知ることができて大変面白かった。
この仕事はサービス業の中でもかなり過酷で、精神力、体力がなければやっていけない。旅行が好きとか色々な所へ行けるという生半可な気持ちでは、この仕事を続けるのが難しいということらしい。基本は人の世話が大好きで、問題に冷静に対処できることが必要。著者も歳を取ってからこの世界に入り、色々苦労はしたもののこの世界が性に合っていると言う。おそらくツアーに纏わる出来事やトラブルを、第三者の立場で見られるような心のゆとりがあるからではないかと思った。この本は添乗員の世界を知る入門書みたいなもので、一読して嫌だと思うか、面白そうと思うかで適性が判断できそうだ。