フィデル・カストロとともに1959年のキューバ革命を成就させ、20世紀最大のゲリラとして、今なお人々の心に残るチェ・ゲバラ。医学を志した学生時代から、圧政に苦しむ人々のためにゲリラ戦士となり、革命成就後、与えられた地位を拒み、新たな解放を目論み南米・ボリビアで67年に殺害されるまでのノンフィクション・ノベル。殺害された地に立った著者の思いを描く。 (「BOOK」データベースより)
-----------------------------------------------------------------------
チェ・ゲバラは、現在公開されている映画の影響もあり知名度が上がっているようです。以前、「モーターサイクル・ダイアリー」という若き日のゲバラの南米大陸旅行を題材とした青春映画を見て興味を持ち、原作本を読んだりしました。けれども彼の人生についてはよく判らなかったので、手っ取り早く知りたいと思いこの本を読んでみました。
彼は一般的に「革命家」と呼ばれています。カストロとともにキューバ革命を成功に導いた指導者としての評価によるものですが、彼の志は「南米大陸の統一」という更に高いところにあったようです。このような意思を持つようになったのも、若い頃の南米旅行の影響が大きく、当時の民衆の悲惨な生活を目の当たりにしたことにあります。同じ状況を見ても彼の感受性の強さというのは、他の人達とは違うものだったのでしょう。また、彼は几帳面な性格であったらしく、日記や手紙や数多くの著作を残しています。そのお陰で、私たちは彼の理想とする社会や、その社会を実現するための反政府活動の意義を知ることができます。
彼の時代は、今のようにビデオやネットといった自分の意見を世界に発信できるメディアが発達していない時代でした。テレビや新聞は政府に握られており、メディア戦略が取れなかったため、どんなに彼の理想が高いものであっても、一般人の「ゲリラ=社会の悪者」という見方を覆すのは難しかったのでしょう。理想の社会を実現するために、コンゴやボリビアでの反政府活動を支援した彼ですが、キューバのようには上手くいかず、結局暗殺されてしまいます。
国によって民衆の考え方が違い、彼の活動が受け入れられなかった事が失敗の原因だったようです。そういう意味では、彼は「急ぎすぎた人生」を送ったのかもしれません。
まあ全てが穏便に上手くいったら、本や映画が作られることも無かったでしょう。
ちなみに写真は若き日のゲバラ。とてもハンサムです。これも人気がある理由かも。