ヨーロッパ最古の文字(せんもじビー、Linear B)を解読するという20世紀最大の偉業を成し遂げた男は大学も出ていない古典言語学には素人の建築家でした。線文字Bは、紀元前1450年から紀元前1375年頃までミュケナイ時代に、ギリシャ本土からエーゲ海諸島の王宮で用いられていた文字のことです。
ウィキぺディアによると、「1900年に、クレタ島のクノッソス宮殿跡から出土した粘土板に刻まれていた文字群の一つ。発見者であるイギリスの考古学者サー・アーサー・エヴァンズにより線文字Bと命名された。同時に発見された線文字Aから派生したとされる。エヴァンスは、クレタ文明独自の言語で書かれていると誤って推測し、解読は絶望視された。しかし、1939年にギリシャ本土で同文字が記された粘土板が大量に発掘され、また、名詞の単・複数形等とおぼしき語尾変化のパターンの発見等、地道な研究成果が蓄積されていく。そして1953年、イギリスの建築家マイケル・ヴェントリスと言語学者ジョン・チャドウィックによりギリシア語として解読された。アマチュア研究者ヴェントリスの研究手法は手堅いものであったが、ギリシャ語と看破したのは、彼の独創と言える。」とあります。
この本は、この線文字Bを解読したマイケル・ヴェントリスの生涯を描いたものです。少年時代に線文字Bと出会い、空軍勤務や建築家としての生活をしながら、線文字Bの解読を行った彼は偉大なアマチュア研究者でした。
小さい頃から言語に堪能で(解読者に共通の能力とも言えます)、ヨーロッパの言語を短期間でマスターする能力と、他の言語学者とは違う建築家としてのユニークな考え方を持っていました。またひとつの事に没頭できる集中力を持ち、その事が偉大な業績につながるのですが、解読が成功した後は目標を見失い、34歳の若さで不運にも自動車で事故死してしまいます。
偉大な研究・発見をする人に共通しているのは、ひとつの事に没頭できる集中力の高さだと思います。彼にも家庭生活がありましたが、子供の頃から興味があった線文字の解読のほうが人生の大きな部分を占めていたようです。そのため家庭生活への関心も薄く、解読成功後は建築家として苦悩の日々を送っていたようで、おそらく死因は今で言う鬱の影響ではなかったかと思います。
偉大な人物も人生いろいろです。
ちなみに、線文字Bについては10年ほど前に「線文字B 大英博物館双書 失われた文字を読む」という本を読んだ事があります。
私にとっては、線文字Bの解読法よりも解読者マイケル・ヴェントリスの人生のほうがはるかに面白いと思いました。
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