高く飛んだ。
軽く越えられるというのは過信だったのか。早くも自分の体が引力に負けてしまうのがわかる。着地地点に見えるのは煮えたぎる大鍋だ!
やばいぞ! 僕は必死になって足をバタバタとさせる。
「かみさま見ていてください!」
僕の最強の抵抗を。すべては漫画の世界で習った通り。
どんな時でも、困難を乗り越えるのは意志を貫き通した者だけだ。
バタバタバタ! 風を蹴れ!
強くもがけば真理だって、空気だって変えられる。
街を越えろ! 虹を越えろ!
ちゃんこの向こうは、きっとシントトロイデン。
大鋸屑を
ダイヤで磨く
一品に
軸を移した
虹の横綱
(折句「お大事に」短歌)