「ずっと地球人を気取っていたんでしょ」
「別にそんなつもりじゃない」
「だったら何?」
「何がどうしたってんだ」
「宇宙人の方がよほど詳しいってのさ」
「何が?」
「あの辺のこと、この辺のこと、ご近所のこと、海のこと、海の向こうのこと、深海のこと、砂漠のこと、雨のこと、虹のこと、みんなみんな」
「宇宙人はガイドブックを持ってるからだろ」
「それが何だと言うの」
「別に深い意味はないよ」
「住んでいるだけで地球人? あんた地球の何を知ってるの? いったいどこをたずねたの? 何を学んできたの?」
「住んでいればいいじゃないか。僕はずっとそう思って住んできた」
「へー」
「これまでも。きっとこれからも」
「あんたみたいなのを隠れ地球人っていうのよ」
「隠れ地球人? 何だそりゃ」
「わかってんのよね。私もそうだもん」
「お前も?」
「そう」
「ふーん」
「あんたも私も隠れ地球人」
!ワーニがドーナッツ!