眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

僕も龍になりたかった

2022-05-06 16:12:00 | 将棋ウォーズ自戦記
 相振り飛車を思い描いて指していると、相手はいつの間にか「こいなぎ流」の右玉陣形になっていた。飛車先が保留されているため、向かい飛車から逆襲することもできなかった。僕は囲いを木村美濃にした。ゆっくりしていて玉頭から攻められる展開は嫌で、左から雀刺しの陣を作って端から攻め込むことを狙った。すると相手は、歩を突き捨て桂をポンと跳ねてきた。単純で軽い攻めなのに、二枚銀の弱点を突かれたようで嫌な感じがした。仕方なく僕は美濃の金をよろけて中央を受けた。(不本意な金寄りだ)気がつくと飛車交換になっていた。軽い成り捨ての手筋をあびて飛車を打ち込まれる。やむなく僕は自陣飛車を打って駒損を逃れる。

「まだまだこれからよ」

 そういう風にみることもできる。駒損をせずに、決め手を与えないようにじっくりと指せれば、チャンスは残せるだろう。しかし、こちらの方が時間がない。予定ではない展開になったことで、勝ちにくい将棋になっていた。

「そういう陣ではないんだよ」

 雀刺しの陣が、世界の隅っこにもの悲しく残っていた。自分から攻め込んでいくつもりだったのに、一方的に受けている展開は辛いものだ。

「僕も早く竜になりたい」

 そうして相手の竜に自陣飛車をぶつけてさばきを狙った手が、敗着になってしまう。(先に相手の角道を遮っておくべきだった)
 決め手の角切りをあびて、自陣は完全に崩壊した。
 辛抱が足りない。しかし、敗着の他に敗因はある。

「相手の角桂が大いばりする展開になったこと」

 雀刺しの陣が不発に終わったことに対して、相手の陣のよいところを最大化させてしまったこと。やはり、それに尽きるのではないかな。




●鍛えるところを意識する ~生き様をイメージする

 筋肉を鍛える時、鍛える箇所を意識して行うと効果が増すという話がある。将棋の上達も同じようなものだ。漠然と勝利を目指してやっていても、なかなか強くなることは難しい。もう少し、日々具体的なテーマを持って戦う方がいいだろう。テーマは、何でもいい。

 よーし右四間飛車を撃破するぞ。よーし、居飛穴を退治するぞ。よーし、相振り飛車で作戦勝ちするぞ。よーし、端攻めを玉で受けて受けきるぞ。よーし、時間で勝つぞ。よーし、自陣角を打つぞ。よーし、手厚く指すぞ。よーし、盤上を制圧してやるぞ……。
 とにかく前に「よーし」とつけて気合いを入れることが大事だ。

「よーし、3回指して3連勝するぞ!」

 そんなテーマだっていい。
 鍛えたいところ、理想や生き様をイメージして指すと、ただ漠然と指すよりもモチベーションが上がり、学習密度もアップするはずだ。
 そうそう勝てるわけじゃない。

(勝ち負けなんて大した問題ではない)

 それよりも、いい手を一手指せるという方が重要だ。

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バグ・ポテト

2022-05-06 03:06:00 | 夢追い
 向こうに行けば会えるのかもしれない。次の瞬間には訪れるのかもしれない。動くことも動かないことも危険だ。多くの者はどうするのだろう。捨てた石が大化けすると思うと捨てられない。最初から宝石は見つからないから拾ってみるしかない。自惚れた待ち合わせは待ちぼうけに変わるだろう。僕は石を積み上げて石垣を作る。
 少し気が緩んだのか。石の隙間にファスト・フードができていた。

「ご一緒のポテトはどのようにおつけしましょう?」

「いいえ、結構」

「それでは私が悪者になってしまいまいます。ピアスのように? 最後の晩餐のように?」

「じゃあ普通で」

「本日はお持ち帰りいただけません」

 店員は申込用紙をカウンターに置くとすべての個人情報を書くように迫った。

「全部ですか」

「行政からの指導で」

 どうも話がおかしいのは、石の組み方が甘かったからだ。ほんの少しでも隙をみせれば、あらゆる方向からツッコミが入る。備えないものは滅びる。四六時中気を抜くことはできず、休日と言えどもオフラインにすることは不可能。生きている限りはオンなのだ。恐ろしき野生の時代。
 他国からのサイバー攻撃によって、注文は大混乱に陥った。
 飛び交うナゲットの中で助かる道を探す。
 午後3時の期待は大型アップデート。

「今回のアップデートによって無数のバグが修正されました!」

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こどもの日の折句

2022-05-06 02:17:00 | 短歌/折句/あいうえお作文
雨音がみぞおちを打つ小説に
安らぎながらカップ焼きそば
(折句「あみじゃが」短歌)


わやわやと魂を揉む詩の上に
歩を並べ置くネイティブ・ナイト
(折句「渡し舟」短歌)


友情が気化した夜明け百億の
夜に熟した梅干しをくれ
(折句「ユキヒョウ」短歌)


宇宙史をタップでめくる井戸端に
ビート激しきトット漫才
(折句「うたいびと」短歌)


映像が奥へと続く街ぶらは
命を拾うあくなき旅路
(折句「エオマイア」短歌)


コーヒーもとうとう尽きたもう一杯
飲むほど富んだ人になりたい
(折句「こどもの日」短歌)


柿色のセロファンだけをタネにして
地球の芯を抜いたマジシャン
(折句「風立ちぬ」短歌)


うそめいて多弁になれた一局を
ひっくり返し弔う二人
(折句「うたいびと」短歌)


ソニックがコードをかけるカテゴリに
小説投げてコーナーキック
(折句「そこかしこ」短歌)


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