「僕らは指先から近いところから滲み出て行く。その方が人間の感情に寄り添うことができるから」
「感情に近すぎて、あとで見返した時に、筆者自身が理解に苦しむ光景を何度も見た。なんと哀れな」
「あなたたちはカチカチと乱暴だ。僕らはいつもサラサラと水のように流れて行く。だから、人の心に沁みるんだ」
「客観的であること。そのためには感情を排除することも必要なの」
チャカチャンチャンチャン♪
「客観的だって? ボタン1つで消えてしまうものなんて信用できないね」
「涙でかすれてしまうものの方が信用できないね。丸まってゴミ箱に飛び込んで行くようなものもね」
「好んでするわけじゃない! 僕らは人間をコントロールできない」
「私たちだってそれは同じよ」
チャカチャンチャンチャン♪
「僕らは人と直接つながっている。君たちはいちいち変換するみたいじゃないか。『書く』というだけで大層な候補を踏ませるみたいじゃないか。どうせボタン1つで消えてしまうくせにね」
「私たちは消えない。涙なんかで消えたりしないんだ! クラウドが後ろで支えてくれるからね」
「クラウドって何さ!」
チャカチャンチャンチャン♪
「君は君で書いて行きなさい!」
Pomeraがカチッと突き放した。
ペンはくるりと回って輝きを放った。
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