1枚の絵が俺の目にとまった。この絵を持ち帰って自分のものにすることで、俺は新しい作風を切り開くことができるだろう。そんな絵を俺はずっと探し歩いていたのだった。
「これをもらおうか」
「ごめんなさい。これは売り物じゃないんです」
えっ?
「いやー、そこをなんとか、お願いしますよ」
「いやー、これだけはちょっとねえー」
そうか。仕方ないな。
チャカチャンチャンチャン♪
「これでどうだ。手を上げろ! 金を出せ!」
「くそー。強盗か!」
「そうじゃない!」
断じてそれは認められない。
「店主と強盗という構図を描かせたのは主人、あなただ!」
チャカチャンチャンチャン♪
「わかりました。こちらが折れましょう」
ピストルをみて店主は態度を変えた。
「50万。それでいかがでしょうか」
なんだ。値がつくんだ……。
チャカチャンチャンPayPay♪
「あんた、絵を!」
もういいんだよ。
俺は背中で主人に別れを告げて歩き始めた。
(高い授業料になったな)
だが、俺が望んだのはあの絵のタッチ。荷物はいらないぜ。俺は俺なりのタッチをみつけなくちゃ。
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