眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

ファースト・イメージ・コンタクト

2024-04-29 10:20:00 | ナノノベル
 いつかのやさしいものに似ていたら、やさしい衣を着せてしまう。ファースト・コンタクトであっても、完全な素でそのものを受け取ることはできないのだ。鳥に似ていたら勝手に翼を着せて見てしまう。馬に似ていたら勝手にスタミナを着せて見てしまう。蛙に似ていたら勝手に歌声を着せて見てしまう。時には偏り、また時には都合よく着せてしまうのが脳というものだ。好きだったものに似ていたら、無意識にハートを着せてしまう。

サッサッサッサッサッサッ♪

 少し近づこうとしただけで犬は離れて行ってしまう。

「おいで。大丈夫だよ」(話したいだけ)

サッサッサッサッサッサッ♪

「最初の宇宙人がよほど酷かったのだろう」
「隊長、どうしますか」

サッサッサッサッサッサッ♪

 その逃げ足には恐怖が染み着いているのが見えた。

「我々は誰かの残像にすぎぬ」
「無理ですかね」
「いや。粘り強く見せていこう……」
「はい!」
 記憶は脱げない。重ねて着せていくことしかできない。
「人としての誠意を」


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