眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

出汁の匂い

2025-01-20 19:22:00 | 眠れない夜に
 眠れない夜、出汁の匂いに誘われて家を出た。こんなところに蕎麦屋ができたのか。こんな店の扉が開いている。準備中。おばあさんは、一生懸命蕎麦を打っていた。心得はなかったが、芯は熱く燃えるところがあった。僕は厨房に押し掛けて手伝いを申し出た。

「今終わる」

 おばあさんは、気遣い無用と断った。終わるのはうそだ。作業はきっと始まったばかりだし、人手は足りていない。(自分の世界に入れたくなかった)というのが、本音ではないか。頑固者だな……。
 おばあさんは、ずっと蕎麦を打っている。だから、今日も眠れそうになかった。
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