ハヤシ・イリュージョン（折句）

ありふれた
軽食ライス
豚汁に
梅干そして
フーのデザート

「揚げ豆腐」


カイザーが
がさつに詰めた
ミキサーで
色づく夏の
シーザーサラダ

「鏡石」


風を呼ぶ
カリフラワーの
耳飾り
色づく青は
七月の青

「鏡石」


ハヤシのラ
イスをつくって
親になる
まやかしだって
素敵じゃないか

「バイオマス」

自由詩

簡単な問題から解くか
簡単でない問題から当たるか
３つ数える内に決めな
いち、にー、さーーー
しーっ。誰か来たぞ

　アクロスティック「鏡石」


繁盛店というだけあって
いつも誰かがそこにいる
鬼、天狗、河童、宇宙人、
稀に人魚の姿もみえる
スタッフ急募

　アクロスティック「バイオマス」


うちの猫はどこにでもいるような
食べて寝ての猫だけど
１日15分だけ
ひらがなを使うようになった
と・も・だ・ち・だ・よ

　アクロスティック「うたいびと」


鉛筆が転がっている
どうしてかコロコロと
仕方ないよ鉛筆なんだ
来る日も来る日もコロコロと
坂道もないのに

　アクロスティック「江戸仕草」

俺客ハラスメント

俺は客
お前店員
鳥が突く
勝ち誇るやっ
けーな烏が

折句「オオトカゲ」短歌

地球リフレイン

わくわくを隠しきれず
台風が近づいた時だけ
親密になる
普段はまるで難しい
猫のような３人

　アクロスティック「渡し舟」


傷がまだ癒えない内に
山に登り始めた
虹を見たなら先へ進め
大昔からのルーティン
忍者の上にも空は青い
雲はまた隠れるために流れる

　アクロスティック「キャニオニング」


うどんを啜り食べていた
食べても食べても食べても
一向になくならない
一晩中啜り食べていた
とどまるところを知らなかった

　アクロスティック「うたいびと」


許せない奴少々
嫌いな奴少々
人は人と割り切れる奴が一番強い
よい子わるい子振り分ける
上から目線もうたくさん

　アクロスティック「ユキヒョウ」


永遠に憧れているの
どうして人は繰り返すの
シーズン、朗読、納豆まぜて
繰り返すことばかり
さよならだって

　アクロスティック「江戸仕草」

売れない話

絵の前で少年は足を止めた
蜻蛉が花に止まっている
少年が初めて見るような蜻蛉
くるくる指をまわして攪乱した
「さあ、僕と入れ替わらないか」

　アクロスティック「江戸仕草」



底抜けに明るい
子犬の役がまわってきた
噛み倒してしまっても
尻尾を振れば大丈夫
焦げつく夏を冷やかすホラー

　アクロスティック「そこかしこ」



腑に落ちない話が
路地裏で売られていた
くらくらするような僕らの話
からくりだらけの鴉の話
狐につままれたような三つ目の話
稀にみるような晴れの話
知ったところで役には立たぬ
ただ寄り添っているような話ばかりだ
！

　アクロスティック「ブログ書きました！」

さよならゲーム（折句）

老けたのは
月日のせいと
問いかけて
麺を啜った
三時の平和

「フットメザ」


ＭＣの
トガリネズミが
ショー化した
クマとピューマの
サンボ対決

「江戸仕草」


恋し合う
マネシツグミが
飛び交って
裏声と凡　　
フライの不安

「胡麻豆腐」


AIが
届かぬ愛を
したためて
クローンに託す
さよならゲーム

「江戸仕草」

イク・メン・オン・ザ・ライン

我々を
誕生させた
終点を
踏まえた上の
熱湯５分

折句「渡し舟」短歌

フル・スイング

８月の
犬喜びの
尾に触れて
舞鶴へノン
ストップの旅

折句「バイオマス」短歌

サプライズ・タウン

走り書きしたメモを見返すが
何が何やらわからない
見たところカナのようだが
ずっと見つめていると触覚が動き出した
キモチワルイ


安くないチケットが飛ぶように売れた
まだ自分だけがファンだった頃
トースト１枚の値でも
たいして売れなかったというのに
まさか手に入らないなんて！
信じられないことに
今では地球３個分ほどの値


腹ごしらえをしていると
夏が終わってしまった
未来とは
すぐに訪れるもの
季節はもうすぐ冬だ


延長コードをのばす内にたどり着いた
隣の町は異国だった
死刑！
国中の声がまとまって僕をさした
裁判は特に必要ないという



　アクロスティック
「ハナミズキ」
「大和魂」
「ハナミズキ」
「江戸仕草」

音階旅行

甘やかな
軽音楽が
捕らわれて
うちにかえれぬ
古傷を打つ

折句「揚げ豆腐」短歌

お化けの夏休み（折句）

茶柱に
立ち会いながら
手を揉んだ
村人はまだ
芯に触れない

「チャタテムシ」


幽霊が
昨日をみやり
ひんやりと
横に流した
薄皮和菓子

「ユキヒョウ」


さめやらぬ興奮
４分の
運動会
夏の墓場
来場者あふれ

「さようなら」


おつかれと
モールの陰で
手を上げた
夏が去るまで
ショーはお休み

「おもてなし」

ワープトンネル

長袖を通り抜けると
月の裏側に出た
やっぱりそうなったか
「すばしっこさがあだとなるであろう」
耳が痛くなるほどじいちゃん言われたもの

アクロスティック「夏休み」



忘れたいのに忘れられない
旅人の脳裏にいつもいつも
手裏剣が突き刺さっていた
ブーメランが巡回していた
寝ても覚めても

　アクロスティック「渡し舟」



夕立が上がったあと
君はうれしそうに笑っていた
菱形をしたお月さまの四方から
四色展開カブトムシが降りてくる
「うわーっ！　かわいい！」

　アクロスティック「ユキヒョウ」



８月のトンネルの中
何かに追われるように進む
見つからない見つからない見つからない
既に君が持っているからね
汽車はもうすぐ10月へ抜ける

　アクロスティック「ハナミズキ」

強いカクテル（折句）

悪魔的
リフレイン超
くどくどと
和太鼓を打つ
ずっと打つ打つ

「アリクワズ」


ああ雨が
じわりじわりと
降る日には
ランランセブン
イレブンへＧＯ

「アジフライ」


安全と
健康入りの
ドリンクを
「旨い」と含む
不幸な夜だ

「揚げ豆腐」


AIに
説き伏せられた
新宿で
クローンが抱いた
最終時計

「江戸仕草」

おじさん in サマー

３つほど
袖を折り曲げ
さわやかに
サマータイムを
生きるおじさん

折句「ミソサザイ」短歌

米ソング

AIが
研ぐ米音に
詞をつけて
口ずさむのが
サザエの仕事

折句「江戸仕草」短歌