眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

丸かじりリンゴ

2021-08-09 17:36:00 | いずれ日記
 リンゴを丸かじりした。サクサクといい音がした。
 果物の代表選手であるリンゴはスーパーの入り口に近いところに見かけることが多く、スイーツやヨーグルトなど様々な食品の中に入り込んでいることは事実だ。
 いずれにしろ毎日の歯磨きを欠かさないことによって、丈夫な歯を保つことが日々の生活を健やかにするものと思う。
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哲学がいっぱい

2021-08-06 09:31:00 | ナノノベル
 私たちはそれぞれに好きなものを注文した。
「中華そば」
「私も」
「ご注文を掘り起こします。あなたは塩ラーメン、あなたは味噌ラーメン。自分と何かを結びつけることは生きる基本です。あなた方は正しい。だけど、あなたは中華そば。そして、あなたも。あなたも? 待ちなさい今何と言ったの? まさかあなたも中華そばと? あなた! あなたとあなた、全く同じであることはできないわ。ここで生きていくためにはそれぞれに別の主張が必要になります。私はこれだ!というものがなければ生き抜くことはできないのです」
 私たちは店を追い出され、それぞれに独りになった。

 誰も傘をささずに歩いていた。それなりに感じられる雨が降っているのに。数だけではない。人間はAIとは違い流れを重視する。街の様子から思うに、これは上がりかけた雨なのではないだろうか。散々降った後では、もはや傘をさすほどの雨ではなくなったのだ。(みんなさしていないのだから)それに同調傘力が入り交じって、みんな濡れながら歩いて行くのだ。私は逆らうことができるだろうか。細い雨に打たれて歩く内に、だんだん私もこの街に抱き込まれて、チャンスは少なくなっていくようだ。もしも、これが今降り始めた雨だったなら、誰だって傘を開くはずだ。上がりかけた雨は、ずっと上がり切らずに力を保っている。

どれほどの雨ならばあなたを止めてくれただろう
何も持たずにあなたは出て行ってしまった

 落下する気配を感じた。咄嗟に伸ばした手が微かにタッパーに触れる。つかみ切れずに逃した。その直後に高い音がした。流し台にあった茶碗が割れた。茶碗はずっとその場にいただけで、完全に被害者だった。落ちてきたタッパーとの衝突によって割れたのだ。けれども、一連の事故に私の手は関与したのではないか。受け止めようと伸ばした手が微かに触れることによって、勢いは増したのではないか。角度がついて方向が変化したのではないか。もしも、私が手を出さなければどうなっていただろう……。
 よくあることさとグラスは澄んだ口調で言い、また別のを買えばいいとナイフは夜をさすように言った。

「茶碗でよかった」
 お玉が他人事のように言うので私は少し腹が立った。

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ビンゴ&温泉

2021-08-02 21:20:00 | 夢追い
 ビンゴ大会でトップ10に入ったので景品を受け取ることになった。「名前が書いてあるから」迷わなくていいと同じトップ10の人が親切に教えてくれた。あの女の人、適当に持って行ったみたい。僕は追いかけて教えようとしたが、そこまですることはないと止められた。景品はどれも同じでフルーツと10キロの米なのだ。こんなの徒歩で持ち帰るのは大変だ、雨だったらとても無理だと誰かが文句を言った。もしも雨なら来てもいなかったと僕は思った。
 米を背負って家路についた。バスの3階から友達が指を立ててエールをくれたので、僕も拳を立ててそれに応えた。声などは届かなくても、不思議とその一瞬の気配を感じ取ることができた。

 昔通った小学校に立ち寄って、先生にみかんをあげようか。思いついたら学校の階段を上がっていた。少しでも荷物を軽くしたかったのだ。ピアノの音が聞こえてくる。今は授業の途中なのか。教室のドアは開いていた。先生のえりあしが見えた。みかんを持って近づく前に、先生は振り返ることもなく手を止めた。その瞬間、音楽が止んで子供が泣き始めた。(やっぱり駄目だ)みかんなんかで先生の邪魔はできない。僕はみかんを鞄に詰めて急いで引き返した。階段を駆け下りる途中でピアノの演奏が聞こえ始めた。




「おはようございます」

 軽く挨拶して入ったが誰も応えなかった。とっくに授業は始まっていたのだ。前に進んでいくと席はピラミッド状になっていて、最前列の2つの椅子は空いていた。近づきかけたところで怖くなって引き返す。皆から離れたサイドテーブルに椅子を持ってきて臨時の席を作った。遅れてきた僕にはちょうどいい。先生は不在で自動音声が流れる静かな授業だった。
 休み時間は菌を落とすための入浴タイムになっていた。人気の第一温泉を避けて、僕は第二温泉に行った。そこはまるで不人気で客は僕一人だけだった。持参したみかんを1つはそのまま、1つは温みかんにして食べることにした。近くで鳥の鳴き声が聞こえる。音声ではない。自然な声だった。野鳥だろうか。

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ポエム・バー

2021-08-01 10:39:00 | ナノノベル
 時速5キロで歩く花嫁と花婿の後ろを、少しほろ酔いで歩いた。弾む足取りの二人はこれから街の教会に行って誓い合うのだ。私はチョコレート味と書かれたバーを食べていた。それが示すところはチョコレートではないということ。

「どんな時にほしくなりますか?」
「少し疲れている時。あと小腹が空いた時。でも、何もなくてもとにかくほしくなる時はあります。好きですから」

「形はどうなってますか?」
「星のようだったりボールのようだったり、だいたい一口で食べられるようになってるけど、シンプルに板のようなものもありますね」

「どこに行けば売ってますか?」
「コンビニとかスーパーとか駅の売店とか。まあそれもコンビニだけどね」

「このバーを食べてみてください」
「ああこれはちょっと違いますね。似てると言えば似てるけれど、これはチョコレートとはまた別物です」

 街の声を拾い集めてまわる開発者の姿が目に浮かんできた。チョコレートの本質を知るためどれほどの努力を重ねたのだろう。花嫁、花婿、酔っぱらい。不思議なほどに歩くペースが変わらなかった。目標を持つ者たちと、見失ったばかりの者が。
 けれども、いつまでも幸せのあとを追ってはならない。
 狭い歩道、どちらにもすり抜ける道はない。二人の間に広がった虹をくぐって、私は前に進み出る。
 幸せの境界を越えて、新しい道を探さなければ。
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