「家」 @ 鎌倉七里ガ浜 + 時々八ヶ岳

湘南七里ガ浜(七里ヶ浜とも)から発信。自分の生活をダラダラと書きとめるブログ。食べ物、飲み物、犬の話題が多い。

八ヶ岳西麓5月下旬の滞在(7) 山荘竣工から10年 / 原村の別荘地③(大規模開発の管理別荘地)

2009-06-05 06:35:47 | 八ヶ岳西麓の楽しい暮らし
下の画像が、私の山荘のある別荘地の入口だ。管理事務所はこの左手にある。こうした大手ディベロッパーが手掛けた大規模開発の管理別荘地を選ぶことには、メリットも多いがデメリットもある。まずデメリットと思われるものを掲げる。



①ここまで来てもこれか!という絶望感
これは、誰しも思うことだろう。八ヶ岳山麓まで来て、東京郊外の新興住宅地風でそれを何倍かに引き延ばしただけの、建築規制も厳しい土地を購入せねばならないのか、というちょっとした情けなさである。ここが最大の分かれ目で、「そんなところに別荘持っても面白くなかろう!」という人も多い。

下の画像は、我が山荘から徒歩でスグのアルピコ四季の森こけもも平で最も標高が高い部分。ご覧のとおり、木々があって緑が多く、ひとつひとつの区画が都市近郊の住宅地と較べればかなり巨大であり、多少起伏があるということを除けば、いわゆる「新興住宅地」と変わらないのである。画像右手に看板が立っているでしょう?分譲開始から11年を過ぎたけれど、未だに売れていないのだ。このあたりは最低区画面積が1200平米以上に規制されている地区だ。看板が立っているこの区画も軽く400坪を超える面積がある。でもきっと格安で買えるだろうから、興味ある人は交渉してみてはどうだろう。



②高い管理料
管理別荘地は「管理」が売り物であるからして、オーナーは管理料を支払わねばならない。共益施設維持積立金等の類も必要だ。巨額な大規模修理基金なんてものもデポジットさせられたりする。管理会社である三井の森に私が支払っている管理手数料は毎月10,000円を超える。月に1万円以上ですよ?何も特別に依頼しなくても、山荘を訪れることすらなくても、これを支払う義務が私にはある。その代わり、私達オーナーは三井の森八ヶ岳サービスセンターから便益をいろいろと受けているわけだ。月10,000円以上というのは異例だ。この別荘地の分譲時期が遅いことと、当初分譲戸数を限定して販売されたことが主たる原因であろうと想像される。もっと古い開発の大規模分譲地なら、管理費その他あらゆるものの負担が少ない。

では今度は大手の管理別荘地に別荘を持つことのメリットを挙げよう。

①分譲地開発のトータルなデザインが美しい
一流のランドスケープ・デザイナーなら、これを「美しい」と呼ぶことに抵抗があるのかもしれないが、日本中のでたらめな景観を考えれば、良く出来たものだと言わざるを得ない。下の画像は八ヶ岳中央高原三井の森のメインストリートだ。立派な舗装2車線道路は両側に背の高いカラマツを配し、天気が良ければ真正面に阿弥陀岳を望む。カラマツは道路から少し引いた所に並んでいる。中心にはアスファルト道路があり、両側に幅広い側溝があり、その外に芝が生えて、さらにその外にカラマツが並ぶ。別荘オーナーは皆、これをクルマで上る。

②幹線道路際のメンテナンス
下の画像の側溝沿いの芝は一定の期間を経ると管理事務所が刈る。カラマツも枝が道路の方へと伸びればその先が切られ、ご覧のようにキレイに揃う。



③ゴミ処理が楽
これが高い管理料を支払う最大の経済的メリットである。ゴミステーションの管理は管理事務所の仕事である。マナーの悪い別荘族は多い。ロクに分別もせず、決められた有料ゴミ袋も使わず、かつ捨てること自体料金が必要なはずの粗大ゴミまででたらめな捨て方をする、恥知らずな別荘オーナーもいる。それをそのまま地方自治体の処理にまかせるわけに行かず、その処理は管理事務所が仲介する形でなんとか収まっている。管理事務所がこれを放ったらかし、役場の処理に全部まかせたら、今頃大変なことになっているだろう。私が管理者なら、ゴミステーションに24時間の監視カメラを設置し、違反者を警察に通報する。



④除雪のサービス
最近は積雪量が減っていると言われる。しかしそれでも寒冷地ゆえ、たまに大雪になることがある。そんな時は、管理事務所の除雪サービスがなければ、別荘オーナーはその別荘に辿り着けない。除雪サービスはきめ細かく頻繁に行われる。私はクロス・カントリー・スキーを持っていて、道路上に雪が積もるとそれをしたいと思うが出来たためしがない。降雪があるとすぐに「三井の森!」と書いた巨大な黄色い除雪車がやって来て、道路上の雪をどけてしまうからだ。驚くべき頻度である。しかしこれはクルマにとっては必要なことである。

⑤厳しい建築規制 / 変わらぬ風景
個人的に私にとってはこれが重要だ。今の日本は経済先進国では珍しく「景観の公共性」の概念が育たない国である。自分の家も周囲の景観の一部である。デザイン、嗜好の好き嫌いは誰にでもあることだろうが、それとは無関係に、近隣の人々が「嫌だ!」と言う建物や施設を「私の権利だ!」と言って強引に建てる人の図々しい感覚が私には理解出来ない。そういう人には「江戸しぐさ」を学んでほしい。法律ではないが、人がひしめく場所で他の人が不快だと思うインパクトを与えないための最大限の配慮をする、高レベルな礼儀である。当地の建築規制はそこに建てられる建物について、色彩、高さ、容積率、建蔽率、デザイン、外構等についていろいろ取り決めている。くだらないと思うし、微妙にそれに違反している人も散見されるが、今の日本ではあった方が良いと思う。私にはかつて自宅の隣にいきなりカラオケ・スナックが建った経験がある。夜中まで酔っ払いの歌声と、出入りするクルマ(酔っ払いが運転する)の騒音に悩まされた。付近は畑と住宅しかないド田舎である。「ド田舎」というのが却って悪かったのだ。そこ(地目用途は「雑種地」)ではカラオケ・スナックの経営自体は合法である。八ヶ岳山麓だって自分が買った別荘地に隣接する森の木々がいきなりすべて伐採され、それがカラオケ・スナックになることや、資材置き場や産業廃棄物処分場になる可能性に常に怯えねばならない。目の前の美しい田園風景に極彩色の看板が立ったり味気ない巨大な工場や倉庫が出来たりもする。しかし三井の森ならそれが避けられる。

⑥土地区画の面積の確保
多くの土地で最低面積が1000平米あるいは1200平米に規定されている。それを下回る土地の細分化は避けられる。



⑦基礎的インフラの整備
別荘地内にはやたらとご覧のような消化栓とホースが配備されていることも安心を誘う。道路はかなり立派な工事が行われている。凍結深度が150cmほどにもなる土地柄ゆえ、相当深い掘削による施工が実施されている。さもなければ道路に耐用性がなくなってしまう。舗装をすると、今度は大雨の際、雨水の流れが強くなる。いざという場合に備え、幅広く深い側溝が作られる。側溝を流れる水は下へ、あるいは巨大な人造調整池に流れ込む仕組みが確保されている。そうでないと、わずかではあっても敷地の土が少しずつ流出する危険が増す。詰まらないように管理センターは常時ゴミを取り除いていて、いつもご覧のような状態だ。普通、山では詰まりっぱなしの側溝が多いが、ここではそういうことはない。



⑧管理センターの警備の巡回
管理センターによる巡回がある。私の山荘の前を三井の森八ヶ岳管理センターのクルマが日に何度も通過する。また隣のアルピコ四季の森のクルマも、我が山荘の前でUターンする。人気の少ない別荘地で防犯上一定の効果はあろう。また敷地内や建物、設備に何か異常があれば、自宅まで知らせてくれるので便利だ。

⑨その他有料サービス
お金さえ払えば、何でもやってくれる。敷地の草刈り、薪の購入、冬場の前の水抜き、相談してリフォーム、粗大ごみの受付、木の伐採、浄化槽のメンテ、住宅機器の補修。あまりお願いしたことはないが、いざという時には便利なシステムだ。



ご覧の画像は我が山荘前の道路である。2車線で幅広な舗装道路で、立派なものだ。ところが管理センターのクルマを除くと、平日など数えるほどしかこの道路をクルマが通らない。また下の幹線、鉢巻道路から2.7kmほど離れているため、恐ろしく静かだ。この季節ならエゾハルゼミ、カッコウ、ホトトギス、ウグイスの鳴く声かアカゲラのドラミングくらいしか聞こえない。

この静かで安楽な別荘生活は、管理別荘地の上記メリットによりなんとか保たれている。山荘竣工以来10年間山荘生活を楽しんで来たが、これらのインフラ、環境、サービスについては当初の予想通りであり、そのレベルに劣化はない。私は満足している。
コメント (4)
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