「家」 @ 鎌倉七里ガ浜 + 時々八ヶ岳

湘南七里ガ浜(七里ヶ浜とも)から発信。自分の生活をダラダラと書きとめるブログ。食べ物、飲み物、犬の話題が多い。

紅茶を普通に飲む(6) 茶葉を探す

2009-06-27 14:58:42 | 食べ物・飲み物
紅茶を飲むことが好きな人なら誰もが少しは茶葉を探したことがあるだろう。「私はこれしか飲まない」などと言いながら、たまにはもっと良い茶葉はないかと浮気している、ないしはそういう気持ちを持つことと思う。

繰り返しになるが、紅茶を私なりの生活パターンで「普通に」かつ「おいしく」飲むためには、茶葉について以下のことを守らねばならない。
①インド系茶葉、あるいはそれを多くブレンドしたストロングでブラックな茶葉の適度に良質なものを購入する
②開封したらその缶あるいは袋の茶葉は可及的速やかに飲み切るべき。だから我が家の消費量の場合、多種の茶葉を同時に揃えてあれこれ楽しむのは無理があり、メインに一種類を選んだらそれを常備して続けてがぶがぶ飲む。
③安い茶葉を探す

②は自分の心がけ次第だが、①と③は相いれないところがある。



前にトワイニングの並行輸入品を紹介した。あちこちのスーパーで売っていて、価格的にも安く、しっかりしたミルクティーをつくることが出来るという点で、このイングリッシュ・ブレックファーストは有難い商品である。出自をたどればトワイニング家はかなり貴族的な紅茶商であるが、非常に庶民的に紅茶を供給している。

日本でトワイニングと並び称される紅茶商の雄リプトンだが、こちらの並行輸入品のリーフ・ティーは国内でほとんど出回っていない(ティーバッグはよく見かける)。国内の正規品がご覧のような缶(上画像)で販売されていて、並行輸入品を除き、私の好きなアッサムで「安価」かつ国内で簡単に入手出来る商品の中ではかなりの高レベルであろうと思う。いくつかの安価なアッサムを他のブランドで試してみたことがあるが、いずれも深みがなさ過ぎた。

私も自分の好みと経済性という2大条件を満たすためにそれなりに苦労しているのだ。

トワイニングのような紅茶商の巨人もいいが、もっと小さな紅茶商も英国には数多い。安定した品質やブレンディングを確保するのは難しいかもしれないが、個性的なお店を楽しむことが出来る。下の画像はそうした紅茶商のひとつでイングランド北西部の湖水地方にある。コッツウォルズ地方とともに湖水地方は日本人観光客、特に女性に大人気だ。実は湖水地方は核燃料絡みの話題に事欠かず、詩人W.ワーズワースから絶賛された風景の裏にはいろいろな政治問題が隠されている。日本と同じで原発は風光明媚なところに出来る。決して大都市には出来ない。



話がそれてしまった。この紅茶商の茶葉の小売価格を見ると、今日時点でアッサムもアイリッシュ・ブレックファーストも500gが5.6ポンドである(ご注意!!500gの値段ですよ。日本によくある100gのパッケージではないです)。500g缶というのは家庭用としては相当大きい。それがわずか800円ほどだ。ここまで安くなくても、日本でもちゃんとした茶葉がもう少し安く買えるようにならないと、紅茶をそれぞれにちゃんと楽しむという風土は普及しないだろう。結局「安価だが感動がない」あるいは「感動的だが随分と高価なもの」に分かれてしまう。「普通においしい」が無いのである。

今のタクシー業界と同じだ。客は「こんな不景気なのに料金が高い」と敬遠し、ドライバーは「参入の自由化でタクシー台数が過剰になりお客が掴まらない」と嘆くが、経営の苦しいタクシー会社が料金を上げることを役所に申請し料金がジワジワと上がり、ますます客が減りドライバーの嘆きも止まらない。客もドライバーも不幸である・・・また話がそれた。紅茶の世界でも、茶葉の値段が下がって良質の紅茶がもっと頻繁に飲まれ、茶葉の卸も小売店も儲かり愛飲家も増大し、皆がハッピーという状態が望ましいだろう。

海外の紅茶の歴史や文化の本を読み、こうしてあちこち茶葉を探し、限られた頭で想像するのは、海の向こうには茶葉の大きな世界が広がっているのに日本人がそれを様々なスタイルで少し本格的にかつ気軽に楽しむには若干の困難があり、「紅茶を普通に飲む」カルチャーの実現には未だ至っていないということだ。売る側買う側どちらにとってもあまりうれしくない状態ではないだろうか。
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紅茶を普通に飲む(5) ラッセル・ホッブズ

2009-06-27 00:03:45 | 食べ物・飲み物
「紅茶を普通に飲む」には普段から飲まなければならないし、そのためには経済性も考えなばならないし、手間を最低限に抑えられれば尚良い。ラッセル・ホッブズをご存じだろうか。「紅茶を普通に飲む」ためには我が家では不可欠な道具となっている。英国の電気ケトルの代表的メーカーである。創業者がラッセルさんとホッブズさんだったわけだ。ラッセル・ホッブズが第二次大戦後K1だとかK2だとかいう名前の電気ケトルを生産し始め、同国では簡便な電気ケトルが一気に普及した。日本法人もありデパートにはたいてい置いてあるので、食器や調理器具好きな人なら覚えてはいなくてもおそらく目にしたことがあると思う。

下の画像は同社のウェブサイトから頂いた。7100JPというモデルで、我が家では毎日これを使っている。とにかくデザインが良い。曲線が美しくクラシックな形をしているが、外見だけでなくなかなかよく考えられて作られている。



注ぎ口が下から出ていて、中のお湯を出しやすい。この手の電気ケトルではあまりない形状だ。注ぎ口は細く、注ぐ湯量の調整も容易で、お湯が垂れてこぼれることもない。下の画像のケトルの下の分厚いコースター状の台にコードがついている。お湯を沸かす時はご覧のような状態だが、お湯を注ぐ時は上のケトルだけを持ちあげる。台は下に置かれたままだ。

下左の画像にあるのが、スイッチ。ケトルの下、後ろ側についている。ケトルを台にセットし、このスイッチを押せば右画像のように、ライトが点滅し、お湯を沸かし始める。ケトル側面にあるのは、ラッセル・ホッブズ社のロゴだ。

この電気ケトルの特長は以下のとおりである:
①すでに書いたとおり、使いやすい注ぎ口
②デザインがクラシカルで優美
③水が入っていなければスイッチは入らない。また沸騰したら自動的にOFFになる。だから空沸かしの危険がない。なによりガスの火を使わなくて済む
④お湯が沸くのが早い
⑤プラスチック部分(黒いところ)は熱くならない。ケトル底部も熱くならない。



上記特長のうち③と⑤は大きなメリットである。③は安全面で有利だし、⑤の利便性も強調されて良い。

先に紹介したジョージ・オーウェルの「一杯のおいしい紅茶」という随筆で彼が挙げたポイントのひとつに「お湯が沸いたらポットをケトルのところに持って行け」というのがある。逆(ケトルをポットのところに持って行く)をやったら、その間に、せっかくグラグラ煮え立ち大量の酸素を含んだお湯が最大限活かせずもったいないという気持ちの表れであろう。この電気ケトルの場合、ポットとケトルの距離を最小限にすることも簡単である。どこでお湯を沸かすことも自由自在だからだ。また伝統的ケトルの場合、底部はカンカンに熱くなるので、ポットに湯を注ぎ終えたらコンロの上に戻すしか置き場所に選択がない。しかしこの電気ケトルなら底部は熱くならないので、どこにでもサッと置いて次の作業を続けられるのである。



電気ケトルの普及度は日本では低いように思う。多く見られるのは、あのなんとも頼りない電気ポットである(あれをなぜ「ポット」と呼ぶのか私にはよくわからないのだが・・・)。熱源は何でもよいが、少なくとも紅茶はグラグラ煮立ったお湯が使えないと話にならない。

最後の画像は八ヶ岳の山荘の狭いキッチン。ここでは画像右奥に写る銅製の小さくクラシカルなケトルが活躍している。確か新潟県の銅製品のお店から買ったと記憶している。本当はこれが一番いいかもしれないと思うが、鎌倉の自宅では他にいろいろとやらないければならないことも多く、忙しい中で「紅茶を普通に飲む」ために利便性と安全性を優先してラッセル・ホッブズを愛用している。
コメント (2)
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