再びケイジャン料理の話だ。
次はジャンバラヤ(↓)。
【Source:フリー画像】
ケイジャンの語源や歴史的背景については昨日チラッと触れたとおりだ。
ケイジャンやニューオーリンズという言葉も、フランスからの入植者とおおいに関係ある言葉だったが、ニューオーリンズのあるルイジアナ州はフランス領のあとスペイン領になっている。
同じくケイジャン料理のひとつとされ日本でも有名なジャンバラヤは、スペイン領時代に持ち込まれたスペイン料理のパエリアに起源を持ち、ルイジアナ州あたりで独自の素材を使い発展したものと言われている。だから、調理はパエリア鍋で出来る。
しかし前回書いたとおりケイジャン料理の「ケイジャン」という言葉は、フランスからの北米北東部への移民あるいはその子孫を指す「アケイディアン」という言葉が語源であるからして、フランス領の後のスペイン領時代にパエリアから派生したジャンバラヤをケイジャン料理のひとつとするのは、ちょっと変な気がするなぁ(⇐いちいち私はうるさい(笑))。
私もジャンバラヤのレシピをいくつか調べてみた。そのレシピたるや、あまりにいろいろ。食材的にもこれでなきゃいけないみたいなことは、どうもなさそうだ。
作り方はパエリアと同じ原理と言っていい。米を炒めたり、スープを吸わせたりするのである。
ジャンバラヤではないが、私も過去にこのブログで、ジャンバラヤと類似のこと、つまりパエリアと似た作り方で、別の食材や調味料を使うことを何度かやっている。
「スペイン人がパエリア鍋を持って海外に移住して、現地の料理や食材に感銘を受け、現地の食材や調味料を使い、パエリア的調理法(=生米を炒めた後、スープを吸わせる)に当てはめ、新たな料理を発展させたと仮定したら、どのような料理が可能か?」という妄想物語だ。
【その1】スペイン人がインドに移住したら
これ(↓)がそれだ。
黄色いのはパエリアでよく使われるサフランではない。
ターメリックだ。スパイシーなインド風パエリアである。
いろんなスパイスが使われている。
上に載っている肉はチキンでタンドーリ風味付けだ。
【その2】スペイン人が台湾に移住したら
下の画像がそれだ。
ルーローハンに似せたものだ。
生米を炒め、その後中華風スープを米に吸わせてある。
肉は豚バラ肉で、八角を効かせて甘辛く煮てある。
これ、めちゃくちゃおいしかったですよ。
【その3】スペイン人が日本に移住したら
それがこの写真(↓)である。
生の米をごま油で炒めたあとで、和風だしを米に吸わせている。
ニシンやミョウガやシイタケやネギが載っていてまったく和風である。でも作り方はパエリアと同じ。
で、ジャンバラヤも結局こういう発想と同じだよね。作り方としてはパエリアの原理に従うが、スペインとは環境が異なる土地(ルイジアナ州)柄、使える食材と調味料が違う。それだけのことだ。
作ってみましょう。しかし今回は敢えてパエリア鍋ではなく、フライパンで作ることにする。具材の量が多いので、浅いパエリア鍋だとちょっとかき混ぜにくいのである。
カーペンターズではなくって、本家本元のハンク・ウィリアムズでJambalaya (On the Bayou)♪
タマネギとニンニク。
パセリとパプリカ。
こちらはサラダの材料(↓)。
パセリはサラダにもジャンバラヤにも使おう。
なんと、シャウエッセン! おいしいよね、これ!!
ぶすぶす切る。
ピーマンとパプリカ。
ブイヨン。お湯で溶く。
オリーブオイルとニンニク。それを加熱。
そこにタマネギ。
なんでも私って、この風景だな。
インド・カレーでも作るみたいだ。
しかしここからはちょっと違う。
香り的にはナポリタン・スパゲティを作っている途中みたいな感じ。
ピーマンやタマネギを炒めているからね。
ここでシャウエッセン!
軽く炒めましょう。
そして生の米。
ケイジャン・スパイスを準備。
米をよく炒める。
やがてケイジャン・スパイスを投入。
さらに炒める。
香りがすごいよ。
そこでブイヨンを溶いたスープを入れた。
ここからが問題だ。
普通パエリアを作る時は、パエリア鍋にアルミホイルを被せて作る。
私もいつもそうだ(↓)。
しかし今回はパエリア鍋ではない。
フライパンとその蓋を使うのだ。
ということは、密閉度がいつもとは違う。
パエリアのレシピを見ると、レシピにより米の量に対するスープの量が、1倍もあれば、2倍、3倍なんてのもあって、説明はかなり異なる。
以前調べたことがあって、ひょっとしたら私の推測違いかもしれないが、どうもこれは本質的違いではなく、炊き込む時に使う調理器具の密閉度の違いのようだ。
カンタンなパエリアの素を使ったようなレシピだと、パエリア鍋で作ることはまったく想定しておらずフライパンに密閉度の高い蓋をしてパエリアを作ることを想定している一方、スペイン料理専門家のレシピだと、パエリア鍋にアルミホイルを被せ、水分も途中でかなり蒸発してしまうがとにかく元気よく作ることを想定していて、それが先ほどの水分の量の差に反映されているように見受けられる。
今回は、T-falの密閉度高いふたで、弱火で作りましょう。
ライム。これは最後に絞る。
パエリア鍋でパエリアを作る時の癖があり、あちこちフライパンを廻す。
不安になり最後の方で味見すると、かなり米が固い。
そこで水を足した。
ライムを切る。
最後に味見して、足りなければ、これらを使いましょう。
炊き込んだあと、10分ほど蒸した。
パエリアのように、最後に高度なおこげ作りなどはやらなくていいらしい。
前回ご紹介した西川先生も40年近く前におっしゃっていた。
ジャンバラヤはスペインのよく出来たパエリアにはかなわないと。作っていて、私もそんな気がする。ジャンバラヤがダメなのではなく、それはそれですごく美味しいのだ。
しかしインド料理店のマトン・カレーと日本のカレーライス、あるいはイタリア料理店のボロネーゼ・スパゲティと日本のミートソース・スパゲティみたいな、そういう違いがスペイン料理店のパエリアとこのジャンバラヤの間にあるように思う。
完成された保守本流と、そこからの発展編の変種みたいな違いが。
出来たぞ。味見してみる。
ちょっと足りないので、さきほどの調味料を足す。
軽く混ぜる。
食卓へ。
ほぉ~、こんなのなんだ。
おもしろいね。パエリアから変種のごはんの一つ。
サラダもあるよ。
結構イケますよ。
ヤミヤミ♪
ケイジャン料理のお勉強の連続投稿が終了した。
と思ったら、番外編。
ケイジャン料理じゃないけれど、ケイジャン・スパイスを使った磯辺揚げ。
妻が磯辺揚げを作る時に、ついでにケイジャン・スパイスを使ってみたらしい。
これはイケる。おすすめですよ。