「家」 @ 鎌倉七里ガ浜 + 時々八ヶ岳

湘南七里ガ浜(七里ヶ浜とも)から発信。自分の生活をダラダラと書きとめるブログ。食べ物、飲み物、犬の話題が多い。

おこもりがちな日々の元ジュリー・アンドリュース・ファンクラブ会員によるクラシカルな英国話

2021-06-30 13:00:14 | 本/音楽/映画
最近手に入れた2冊の本のご紹介。

最初が、ジョージ・ミケシュ著 English Humour for Beginners(初心者のための英国的ユーモア 1980年)。

今や英国を紹介する本としては古典的な部類になるかもしれない。

ジョージ・ミケシュはハンガリー人である。20代半ばに新聞社から派遣されてロンドンにやって来た。



彼にとって英国は「不思議の国」だったのだろう。

いろいろと英国の不思議を解説しているが、最後の方にHow to be a General Alienという項目がある。そこで彼は、英国人と欧州大陸人の差異を面白おかしく説明している。



以下のような具合である(赤い字の部分)

「欧州大陸(英国以外の欧州)では日曜日になると、もっとも貧しい人たちでも自分が持つ最も良いスーツを着て、他人から尊敬を得ようとし、したがって国全体がとても明るいものとなる。しかし英国では日曜日に金持ちですら適当な服を着て、男はひげも剃らないため、国全体が暗くだらしなく見える」

今やリモート・ワークな時代だから、このあたり(↑)は、ハンガリーあるいは欧州大陸のどこの国だってかなり変わっただろう。常時カジュアルみたいなところも多いはずだ。しかし著者によるこの比較に当てはめて話をすると、日本の生活スタイルって英国型かもしれないね。日本人は休日は自宅で寛ぎたいのであり、寛ぐためには多少はだらしない恰好がしたいものなのである。私なんて、オンでもオフでもいつもそうで、今これを書いている日(=休日である)もヒゲがボウボウで、ジーンズを履いて、シャツの裾を外に出している。それで何が悪い?(笑) 

一方、英国と日本の日曜日を比較すれば、日本は英国以上にカジュアルというか、くだけた格好をしている人が多いように思う。日曜日の正装の度合いでは、欧州大陸>英国>日本という微妙な差異による順位が成り立つかもしれない。

「欧州大陸では避けられるべき話題のひとつは天気である。ところが英国では少なくとも1日200回は『いいお天気ですわね?』なんて言わないことには、変に思われる」

欧州大陸ではそうなのか? 天気を話題にしちゃ、洗練されていないとみなされるのか? 知らなかったな。英国人が天気の話題が好きなのは有名だし、私も辟易するくらいそれを言われたことはある。しかし少なくとも日本じゃ、それを言って嫌がられることはないな。斯様に、この点でも英国は日本に近いのかもしれない。

次の本の話に移ろう。

こちらは東大の先生である新井潤美さん著 <英国紳士>の生態学。



これがまた英国の古典的な社会階層について書いた本である。

マイ・フェア・レディというミュージカル(舞台あるいは映画化されたもの)をご存じの方も多いことでしょう。同じ英語を人々はしゃべっているのに、その人々が属する社会階層や地域によってアクセントあるいは言葉の表現自体があまりに違うことがそのミュージカルの主題になっている。英語に限らず、どこの国の言葉でも似たようなことはあるのだろうけれどね。

英国の名優スタンリー・ホロウェイは、ロンドンやニューヨークの舞台でマイ・フェア・レディに出演したし、米国でそのミュージカルが映画化された時にもそれに出演した。

そのことが、この本でも紹介されている。



彼が演じたのはミュージカル主人公のイライザ・ドゥーリトル(オリジナル・キャストはジュリー・アンドリュースがそれを演じ、映画ではオードリー・ヘップバーンが演じた)の父親であるアルフレッド・ドゥーリトル役だ。これがまたどうしようもない男で、働かないし、飲んでばかり。娘であるイライザは、その美しくない英語のアクセントを矯正して上品に話せるようになるため、音声学者のヘンリー・ヒギンズ教授宅に住み込んで話し方を学んでいるのだが、その意味を誤解したイライザの父親アルフレッドは、ヒギンズ教授にカネをせびりに来たりする。

この動画はその父親アルフレッド(スタンリー・ホロウェイ)が歌うWith A Little Bit of Luck♪ (邦題は「運が良けりゃ」)



3人の男の先頭を歩いているのがアルフレッド役のホロウェイである。

いわゆるコックニー訛りなので、何を言っているのかさっぱりわからない・・・。

かつて日本でも、この曲は大正製薬のゼナのCMで使われた。

いかにも昔の所ジョージ的だ。

CMの中ではこの曲は、最初に所ジョージによって、最後に男性コーラスによって歌われる。



この<英国紳士>の生態学の著者である新井さんは、もうひとつの英国的ミュージカルであるメリー・ポピンズについてもかなりのページを割いている。

第七章の表題は「階級を超えるメ(ア)リー・ポピンズ」。



メリー・ポピンズもまた米国において、ウォルト・ディズニーによってジュリー・アンドリュース主演で映画化された。マイ・フェア・レディが映画化されたのと同じ年、1964年の作品である。

銀行員であるバンクス氏宅に2人の子供の乳母として空から現れたメリー・ポピンズ。彼女はバンクス邸で乳母として働いている時は英語をとても正確に話すが、煙突掃除人でボーイ・フレンドのバート(ディック・ヴァン・ダイク)や子供たちと外に出かけた時はちょっと違った振る舞い、言葉遣いも見せる。

歌や踊りが多い作品だが、こちらはなかなかのシーンだ。



因みにこの「ヴァン・ダイク」はオランダ系の姓だが、彼は米国生まれで米国育ちであり、生粋の米国人である。したがって映画出演に先立って、彼は英国労働者階級の英語のアクセントを習得するのにかなり苦労したらしい。

話があちこち飛ぶが、この<英国紳士>の生態学を読んでかなり時間が経ってから、私は著者である新井さんの別の本をかつて読んだことがある事実に気が付いた。それがこの本だ(↓)。



話がまた変わるが、そしてこれは以前にも書いたことがあるかもしれないが、私は10代の後半にジュリー・アンドリュースのファンクラブに入っていた。ジュリー・アンドリュースが来日した際は、ファンクラブ経由でS席のチケットを入手し、大阪フェスティバルホールのコンサートに出かけたことを覚えている。この時のライブ録音はその後LPレコードなり発売された。海外でも売られたようで、今も稀にそのLPレコードが売買されている。

どんどん話が変わるが、こちら(↓)はマイ・フェア・レディのロンドン・オリジナル・キャスト版CDである。我が家にあって、先にご紹介したスタンリー・ホロウェイや、舞台で主役を務めたジュリー・アンドリュースや、ヒギンズ教授役を務めたレックス・ハリソンの声が聴ける。こちらは現在でも簡単に手に入る。Amazonでもどこでも。ご関心ある方はお探しください。



ジュリー・アンドリュースついでに、こちらもどうぞ。名画サウンド・オブ・ミュージックからド・レ・ミ♪



ジュリー・アンドリュースは存命だが、ここで長女リーズル(動画の姉妹の中で最も背が高い)役を演じたシャーミアン・カーは数年前にお亡くなりになったね。

話があちこちに飛んで、なんだかよくわからない説明になってしまった。

本を読んでいると、そこに書いてあることがあちこちの古い記憶をつなげて行くので、面白い。
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16 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (おちゃ)
2021-07-01 18:30:21
yukarillyさん

英会話学校でスケジューリングのお仕事??
今のそちらの生活とはかなり違いますね。
でもいろんな国出身の先生が、おられて
和気藹々としたムードというのは良かった
ですね。それで無いと嫌になっちゃうから。
職場って仕事の内容も大事ですが、
ムードや人間関係が大事ですから。

お嬢様がいくらミュージカル好きと言っても
若いお嬢様のこと。
さすがに1960年代のはいささか古くないですか?
とは言え、1970年代以降はミュージカルも
グッと本数が減りますからね。

シェルブールの雨傘。カトリーヌ・ドヌーブ
ですね。音楽はミシェル・ルグラン。
主題歌が有名ですが、中にはいろんな曲
があり、ジャズ的な要素も多く、奇才
ミシェル・ルグランの面目躍如でした。
と言いつつ、もう40年くらい見てないので
忘れてしまいましたー。
おそらくお嬢様の方がよくご存知です。
返信する
Unknown (おちゃ)
2021-07-01 18:20:39
ウムキさん

water.
学生時代に私たちがやっていた発音は
どちら流でも無い、独特なもの
だったかもしれません。この単語を発音する時、
我々はウォーターと言いながら、t もハッキリ
と舌を弾いて発音し、その後の r もハッキリ
舌を巻いていたように思います。

しかし先程もありましたように、実際の英国
でよく聞かれるものは、最後の r はほぼ
意識されない場合が多いように思います。
カタカナで書くとウォータ、センタ、
みたいな。最近IT系の方々が日本でも
カタカナ表記で似たことをよくやるので
すが、例えルーターではなくルータと
書く。これにイギリス英語は近いなあと
思っています。

https://www.fa.omron.co.jp/about/automation-center/global/

リンクはオムロンさんのウェブサイトですが
下の方へ行くとcenterと併記して
センタと書いてますね。
このカタカナ表記はイギリス英語の発音に近い。
しかしイギリスではこの綴りは普通center
ではなく、centreです。centerはアメリカ的な
綴りですね。
返信する
Unknown (おちゃ)
2021-07-01 18:01:52
ほたるさん

メリー・ポピンズもサウンド・オブ・ミュージック
も、お子様から大人まで楽しめる不滅の
ミュージカル映画ですね。さすがに半世紀以上
前のものなので、最近はあまり引用される
こともへりましたけど。
私はどちらも大好きです。

すべての山に登れ! 途中でも使われ
ますが、最後にアルプスを越えて一家が
スイスへ向かう時に、流れるその曲は特に
感動的です。聴くのは良いのですが、
これを自分で歌うのはちょっと恥ずかしい。

その歌詞。ちょっと話が長くなりますが、、、
Climb every mountain. Ford every stream.
という出だしの歌詞のFordとは何か?
 そしてそれが含まれる地名が多いの
はなぜか? その地名はどういう地理的
ロケーションにあるか? なんてことを
学生時代に教わって、それを教わった後に
先生が、さあこの曲を皆で歌いましょう!と
言い、皆で嫌々歌った覚えがあります(笑)
なんか、恥ずかしかったです。
返信する
Unknown (yukarilly)
2021-07-01 16:59:19
英会話学校でクラススケジュールを組む仕事をしていた時、米国人、英国人、カナダ人、オーストラリアの先生がいて かなり発音違うけど、クレームも出ず先生も生徒さんも和気あいあい、フレンドリーな学校だった事を思い出しました。ウチは、娘がミュージカル大好きなのでマイ・フェア・レディもシェルブールもメリーポピンズもよく見ます♪︎
返信する
Unknown (ウムキ)
2021-07-01 09:56:26
そうです 湖水地方が舞台ですね。
ロンドンも出てきました。
水 の発音を聴いていると やはり自分が 中高時代に習った会話は イギリス英語のような気がします。
この映画は 難しい言葉もなく わかりやすかった
ですね、もっとも兎がメイン ですから。
自分も 兎 レベルです。反してアメリカ英語は、
主語を略す場合が多い気がします。
アメリカの映画は ヒアリングが難しいです。
返信する
Unknown (ほたる)
2021-07-01 09:39:47
おちゃさんは本当に博学ですね。
でも堅物ではなくて愉快な方なので
安心してコメントもしています。

「メリーポピンズ」シリーズ
読みました、読みました。

サウンドオブミュージックも何度も。
ラスト、トラップ大佐とマリアと子供達が
山を越えてスイスに向かうシーンで流れた
「全ての山へ登れ」を聴いたときの安堵感は
まだ覚えています。
返信する
Unknown (おちゃ)
2021-07-01 06:13:04
ウムキさん

>ベービーを ブアイビー と発音していました

それは本来「エイ」となるところを「アイ」と
発音しているわけですね。
「ペイパー」を「パイパー」
「ミステイク」を「ミスタイク」と発音
するのと同じで、典型的なコクニー訛り
(ロンドンの下町で聞かれる言葉)と
同様かと推測されます。

ところがピーター・ラビットはイングランド
北西の湖水地方の話です。私は映画を見て
いませんが、その映画の筋書きは、ロンドンも
入ってくるのでしたっけ。。。?

ワラーは舌の先を口蓋の上の方にしっかり
つけて弾いて、 t をはっきり発音するということ
をしていないからでしょうね。
イギリスだとtをはっきり発音する傾向は
より顕著かと思います。ウォーター、センター
みなそうです。ただしそのあとに来る r は
音としてほとんど認識されないというか。。。

こちらをどうぞ。

https://www.youtube.com/watch?v=RxhfLEet5HU
返信する
イギリス英語 (ウムキ)
2021-06-30 22:41:31
先日、映画のピーターラビットを字幕版で鑑賞
したのですが、とてもわかりやすかったですね。
これって 日本人のあるある なのでしょうか。
それとも自分だけでしょうか?
ベービーを ブアイビー と発音していました。
ワラー 水 は イギリスでは なんと 発音
するのでしょうか?
返信する
Unknown (おちゃ)
2021-06-30 20:40:38
めいさん

はい、実在していました。
https://www.bach-cantatas.com/Bio/Trapp-Family.htm
↑ このリンク先のページの下の方に画像が
たくさんありますよ。

私のお気に入りはあのミュージカルの曲の中で
最もいろんな人に取り上げられた曲でしょうね。
ジャズでも。ちょっと不思議なメロディですか
らね。

初夏編をどうぞ♪

https://www.youtube.com/watch?v=fYcjPhh-7Nk
返信する
こんばんは (めい)
2021-06-30 20:24:27
映画「サウンド・オブ・ミュージック」の中の歌で一番好きな曲は、「私の御気に入り」です。
JRの「そうだ京都行こう」というCMに使われていますよね。
でも、驚きました。
実在していたそうですね、フォン・トラップ・ファミリー合唱団!
返信する
Unknown (おちゃ)
2021-06-30 18:03:16
自治会員さん

この頃までの歌は親しみやすいメロディが
多いですね。覚えやすいんですよ。
そしていつまでも記憶に残る。
自治会員さんも、このあたりの歌を幼少時
聴いた世代ですか? 
返信する
Unknown (おちゃ)
2021-06-30 18:00:13
ましこさん

クリフ・リチャードは明るいゆるい気楽な
覚えやすい歌が多いですね。前回のも
良いです。

動画も楽しんで頂きありがとうございます。
ドレミの歌なんて長いですからね。
お子様も安心して見られる映画でした。
当時お子様だった私もワクワクして見て
その後高校生の時ファンクラブ会員に
なったのでーーす。会報が楽しみでした。
懐かしいなあ。
返信する
Unknown (おちゃ)
2021-06-30 17:53:31
タケノコさん

それはそれは楽しんで頂き、ありがとうござ
います。話はつながり、いろいろ思い出して
書くうちに、それに関連してまた次のことを
書いて、またそれで思い出して。。。

とキリがなくなるのでした。
それを思い出すと、それに関連した動画
が見たくなり、それも貼り付けちゃったり
して。
返信する
Unknown (七里ガ浜自治会)
2021-06-30 17:30:16
懐かしいミュージカル映画が見られました。楽しい歌、親しみやすいメロディー。この頃の歌はいいですね。
返信する
Unknown (ましこ)
2021-06-30 17:17:32
おちゃさんがファンクラブに.....御入会

おちゃさんのファンクラブではないのですね  オホホ🌹

動画 私も楽しみました
昨日のサマー・ホリディ♪も懐かしかった❣️
返信する
Unknown (信州タケノコ)
2021-06-30 16:28:59
おちゃさんブログの不思議な一面。一つの話から次々と関連が有るよな無いよな(笑)別の話にどんどん繋がって、伝言ゲームのようになって行く。じっくり読ませてもらいました。動画も楽しみました。よく動画を探して来れますね。楽しいです。
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