![]() | 列島強靱化論―日本復活5カ年計画 (文春新書) |
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文藝春秋 |
この本は、自民党の「国土強靭化法案」のもとになった書籍のようだ。京都大学の藤井先生の著である。初版は2011年5月だから、何と、震災2か月後に書かれたものだ。
以前に同教授が書いた本の批評をしたことがあるが、今回の書籍はそれに比べ、結構まともである。もっともそうでなければ自民党の理論的バックにはならないが。
日本列島には地震が多い、歴史上、東日本で起こった大地震、貞観地震(869年)、慶長三陸地震(11611年)、明治三陸地震(1896)、昭和三陸地震(1933年)の4つの地震の後には、西日本、首都圏で3回、大地震が起きている。
西日本の津波も怖いが特に首都直下型では被害額は数十兆円に及ぶ。筆者は、これに備えて、できるだけのことはやっておきべき、という。やらないのは不作為の罪だ、という。
結構説得力がある。そして財源の捻出などは、いつものパターンである。三橋貴明氏と共通だ。この二人は親しいようだ。
ということで、デフレ脱却、経済成長のサイクルは、
日本は財政破たんなどしない
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列島を強靭化するため、10年で200兆円の復興・強靭化計画を立てる
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乗数効果の大きい建設国債を積極的発行
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財源は日銀が国債買取か、新たに紙幣を発行
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公共事業が景気を引っ張るきっかけを作る
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デフレから脱却するとインフレになる
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インフレになるとお金を持っていても価値が減るから、家計は使い始める
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これにあわせて、民間企業が設備投資を始める
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世の中の景気がよくなる
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企業が黒字になり、所得税を中心として税収が増加する
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インフレが加熱するのを抑えるため消費税をアップする
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所得が増えているから家計も税収アップに耐えられる
という循環になる。これで、私も安心して老後の生活を送れる、
というもの、いかがかな?