碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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辺境の旅が好きな人は面白くって少しヘン

2008年07月04日 | 本・新聞・雑誌・活字
「旅が好きか」と聞かれたら、何と答えるか。その回答によって、その人の生まれや育ち、性格みたいなものが、かなり分かるんじゃないかと思う。また、行き先として都市や街が好きか、地方や田舎を選ぶかでも、人柄の一端が見えてきそうだ。

ならば、「辺境」を志向するのは、どんな人間なのか。つい「高野秀行さんみたいな人」と言いたくなる。『辺境の旅はゾウにかぎる』(本の雑誌社)は、”辺境ライター”高野さんの新著だ。

ミャンマー(ビルマ)を舞台とする話が中心で、どれも抱腹絶倒の可笑しさ。アヘンの”名産地”に滞在し、生活するうちにアヘン中毒になったり、ヤマアラシの肉を食べたり、日本への急な帰国のため悪戦苦闘したりする。そして、高野さんは「さあ、大変」などと思いつつも、明らかに楽しんでいる(ようにみえる)。これが”辺境体質”か。

中でも傑作なのが、バイク12台を仕立ててのテレビ取材の話だ。「This is 辺境」という感じのミャンマーの山岳地帯を、原チャリみたいなのが群れとなって走りまくる光景を思い浮かべるだけで、十分笑える。しかも、高野さんが後部座席に乗ったバイクのブレーキが壊れ、坂道を突進していくのだ。まあ、よく生きて帰ったものだと思う。

この本には、複数の対談も収録されている。旅好きの作家・角野光代さんや、高野さんにとっては早大探検部の先輩でもある船戸与一さんなどが相手だ。そういえば、作家の西木正明さんも早大探検部出身だった。何だか、大変な梁山泊だ。先輩たちに倣って、高野さんもいずれ小説を書き出すのだろうか。ちょっと読んでみたい気がする。

辺境の旅はゾウにかぎる
高野 秀行
本の雑誌社

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<減煙コーナー>
2本が規定数の昨日は、結局、午前中で吸い終わってしまった。たった2本なんだから、当たり前か。その後は、どうしたか。タバコの存在自体を忘れたふりをしていたのだ。そう、「ふり」。

しかし、実際に「ない」わけで、そりゃ買いに行けば手に入るが、うまい具合に研究室のある建物と、タバコが買える店が入った建物とが結構離れている。面倒くさい。授業などで立て込んでもいた。で、行かなかった。忘れたふりをしたまま、吸わなかった。

もしかしたら、毎日20本だった人が、これだけ減らしてきたので、「ニコチン欲しい」体質も、渋々減退してきたんじゃないだろうか。希望的観測かもしれないけど。

今日は1本となる。1本なんて、吸わないのと同じみたいだが、「1本ある」というのと、「ゼロ」とは、きっと違うと思う。いつ吸うかを楽しみにしているが、その1本を吸い終わったときの感じが予測できない。「終わりだあ」と嘆くのか、「やったあ」と喜ぶのか。いや、買いに走るかもしれない。さてさて。