碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

公害、広告、野球にびっくり

2008年07月27日 | 本・新聞・雑誌・活字

ついさっき、町の各所に設置されているスピーカーが鳴り出した。ベランダに出て聴くと、「光化学スモッグに注意してください」という注意報だったので、びっくり。

「光化学スモッグ」自体が、何だか懐かしかった。どこか60年代、70年代のイメージがあったのだ。その危険性についてはともかく、そうか、まだこの「公害」は生きていたのか、と妙に感心してしまった。

その後、朝日新聞の朝刊を読んでいて、4面の下にある書籍広告が目に入った。幻冬舎新書『偽善エコロジー』のものだ。

ああ、もう17万部も行ったのかと驚きつつ眺めていたら、「各メディアで話題沸騰!」の文言があった。『産経新聞』『読売新聞』のコラムで、この本に触れた部分の抜粋の次に、先日、私が週刊誌に書いた書評からの引用もあって、またびっくり。


   今の日本はエコという一神教に支配された国。
   ならば本書は、神をも恐れぬ危険な書だ。
     『週刊新潮』2008年7月17日号「テンポブックス」


さすが幻冬舎。使えるものは、ちゃんと使っています(笑)。いや、これはこれで書評子としては光栄なり。

テレビで高校野球の北神奈川大会決勝、慶應vs東海大相模の試合をやっている。逆転、また逆転で、これまたびっくり。その展開をちらちら見ながら、『傷だらけの天使』の続きを読んでいる。

猛暑につきヒヤッとするものを求めて

2008年07月27日 | 本・新聞・雑誌・活字
引き続きの猛暑につき、昨日は涼しい映画館に避難した。見る作品も、ヒヤッとしそうな『ハプニング』を選んだ。正解。

M・ナイト・シャマラン監督である。『シックス・センス』『サイン』『ヴィレッジ』と見てきたが、いずれも涼しくなるものばかりで、この『ハプニング』も同様だった。

突然、街なかで異変が起こる。ニューヨークのセントラルパークで、行き交う人々の様子がおかしくなり、立ち止まり、そして死んでいくのだ。え、何? テロ?

それは、他の都市でも次々と発生する。原因は不明。そう、この原因不明が怖い。

主演は『ディパーテッド』のマーク・ウオールバーグだ。高校の科学教師。妻と、そして友人の娘と共にフィラデルフィアの街を逃げ出す。その逃避行で彼らが体験するのは・・・。

「見えざる敵」ほど怖いものはない。常識や、普通の知識で解明できない敵も怖い。しかし、そんな敵が「ありえなくない」と思わせるのも、シャマラン監督の映像センスと演出の腕だろう。

シャマラン作品に関しては、まったく受けつけない人もいるはず。でも、まあ、「オドカシ屋」としてはなかなかだと思うのだ。

見終わって、シネコンのロビーに出ると、子どもたちとその親であふれかえっている。もちろん、お目当ては『ポニョ』だ。「よかった、みんな無事だあ」などと半分映画の世界を引きずりつつも、『ハプニング』で少し硬くなっていた背中がほぐれる。


階下の本屋さんに入る。ここも涼しい。選んだのは、矢作俊彦さんの新刊『傷だらけの天使~魔都に天使のハンマーを』(講談社)だ。

1974~75年に、日本テレビで放送されていた『傷だらけの天使』。あのショーケンこと萩原健一主演のドラマの、「その後」の物語である。

30数年が過ぎて、現代の東京。「オサムちゃん」もいい歳になっている。しかもホームレスになってたりして。

70年代そのままの主人公・小暮修の目に映る、いまどきの東京と、いまどきの人間が面白い。ズレ。違和感。ときには衝突。矢作さんの「異議申し立て」を感じて、つい拍手する。

まるで30年の眠りから覚めたような修。しかし、ホームレス仲間の一人が殺され、それがどうやら自分の身代わりらしいと判り、ヒヤッとする。そして動き出さざるを得なくなる。さあ、懐かしき街の中へ・・・。



傷だらけの天使 魔都に天使のハンマーを
矢作 俊彦
講談社

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