「小石至誠」という名前を見て、すぐに分からない人も多いと思う。またの名をパルト小石さん。というか、マジックの大御所「ナポレオンズ」のお二人のうち、小さいほうの人(失礼!)、もしくはメガネで大柄の人(ボナ植木さん)じゃないほう、という説明で納得してもらえるかもしれない。ちなみに、至誠は、まんま「しせい」と読む。
6年前、北海道の大学に赴任する直前まで、プロデューサーとして制作していたのが『マジック王国』(テレビ東京)という番組だ。当時、ほとんど忘れられていたマジックというジャンルで、しかもレギュラー番組を作るというのは冒険だったが、そ後「マジックブームへの道を拓いた」ということで、マジシャンの協会から表彰されたりしてしまった。
嬉しかったのは、マジックという自分の好きなものを番組化できたこと。そして、クロースアップ・マジックの前田知洋さんも、コミカルな藤井あきらさんも、イケメン系のセロさんも、かわいい山上兄弟も、たくさんのマジシャンの方々が、みんなこの番組で多くの人に知られるようになったことだ。
この”日本初のマジックのレギュラー番組”『マジック王国』が成功だったとしたら、それは番組の司会と監修を務めてくださった、ナポレオンズのお二人のおかげなのだ。
そんな小石さんの小説が発売された。タイトルは『神様の愛したマジシャン』(徳間書店)。ご本人の弁によれば「おそらく世界初の、プロのマジシャンが書いたマジシャン誕生の物語」である。
ひとりの少年が、プロのマジシャンを目指して歩んでいく物語。五木寛之さんの小説『青年は荒野をめざす』の主人公ジュンはジャズのミュージシャンを目指して世界を放浪するが、こちらの主人公・誠の場合はマジシャンだ。
そもそも、誠のお父さんがプロのマジシャンで、その名を北岡宇宙という。ちょっと特殊な環境で育ったことになるが、子どもの頃から自然にマジックに親しんできた誠は、大学でもマジック・サークルに入る。そこでの4年間が物語の軸だ。
世界のマジックと日本のマジック。プロのマジシャンとマジックのアマチュア。マジックを見せることと見ること。いや、そもそもマジックとは何なのか・・・。
小石さんが持っている、マジックに関する知識や技術、さらに哲学や美学といったものが、この小説には散りばめられている。ある時は父であるマジシャン・北岡宇宙の口を借りて。またある時は誠自身の言葉となって。
この作品は稀有なマジック小説であると同時に、少年の成長物語であり、父子物語であり、爽やかな青春物語でもある。どんなに難しいマジックも、まるで軽々とやっているように見せるのが小石さんの技と美学だが、この小説も、そんな小石さんのスタイルが貫かれていて見事だ。
6年前、北海道の大学に赴任する直前まで、プロデューサーとして制作していたのが『マジック王国』(テレビ東京)という番組だ。当時、ほとんど忘れられていたマジックというジャンルで、しかもレギュラー番組を作るというのは冒険だったが、そ後「マジックブームへの道を拓いた」ということで、マジシャンの協会から表彰されたりしてしまった。
嬉しかったのは、マジックという自分の好きなものを番組化できたこと。そして、クロースアップ・マジックの前田知洋さんも、コミカルな藤井あきらさんも、イケメン系のセロさんも、かわいい山上兄弟も、たくさんのマジシャンの方々が、みんなこの番組で多くの人に知られるようになったことだ。
この”日本初のマジックのレギュラー番組”『マジック王国』が成功だったとしたら、それは番組の司会と監修を務めてくださった、ナポレオンズのお二人のおかげなのだ。
そんな小石さんの小説が発売された。タイトルは『神様の愛したマジシャン』(徳間書店)。ご本人の弁によれば「おそらく世界初の、プロのマジシャンが書いたマジシャン誕生の物語」である。
ひとりの少年が、プロのマジシャンを目指して歩んでいく物語。五木寛之さんの小説『青年は荒野をめざす』の主人公ジュンはジャズのミュージシャンを目指して世界を放浪するが、こちらの主人公・誠の場合はマジシャンだ。
そもそも、誠のお父さんがプロのマジシャンで、その名を北岡宇宙という。ちょっと特殊な環境で育ったことになるが、子どもの頃から自然にマジックに親しんできた誠は、大学でもマジック・サークルに入る。そこでの4年間が物語の軸だ。
世界のマジックと日本のマジック。プロのマジシャンとマジックのアマチュア。マジックを見せることと見ること。いや、そもそもマジックとは何なのか・・・。
小石さんが持っている、マジックに関する知識や技術、さらに哲学や美学といったものが、この小説には散りばめられている。ある時は父であるマジシャン・北岡宇宙の口を借りて。またある時は誠自身の言葉となって。
この作品は稀有なマジック小説であると同時に、少年の成長物語であり、父子物語であり、爽やかな青春物語でもある。どんなに難しいマジックも、まるで軽々とやっているように見せるのが小石さんの技と美学だが、この小説も、そんな小石さんのスタイルが貫かれていて見事だ。
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