碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

やはり、雑誌は人なんだなあ

2008年07月31日 | 本・新聞・雑誌・活字
そういえば、最近、『ぴあ』を買っていない。映画情報や上映スケジュールに関する情報の多くをネットで得ている。それは多分、私だけではないはずだ。今、部数はどうなっているんだろう。って、私が心配しても仕方ないが。

『ぴあ』の創刊は1972年。最初は月刊だった。翌年、大学生となって上京し、さっそく手に入れたが、今と違って、ずいぶん薄かったことを覚えている。表紙が及川正通さんのイラストになったのは75年、大学3年生のときだ。

当時、『ぴあ』のライバル誌だったのが『シティロード』である。後発だが、よりマニアックというか、映画コラムやエッセイなどの読み物が充実していた。

そんな70~80年代、大阪方面のカルチャー・シーンを、大いに盛り上げていた情報誌が『プガジャ』こと『プレイガイドジャーナル』だ。関西の友人から入手して読んでみたが、上映・上演情報だけでなく、メッセージ性のある特集記事が面白かった。

『ぴあ』よりは『シティロード』に近い。しかし、全体のまとまりよりも、編集者たちが自分の興味で、わさわさと記事を書いているような印象で、何やらエネルギッシュだった。

最近出版された『「プガジャ」の時代』(ブレーンセンター)は、歴代編集長たちが語る「プガジャ」伝説の真相。どんな人たちが、どんなことを思い、あの雑誌を作っていたのかがよく分かる。「やはり、雑誌は人なんだなあ」と思う。

各章ごとの詳細な脚注も含め、貴重な同時代史、カルチャー史だ。

「プガジャ」の時代 (新なにわ塾叢書1) (新なにわ塾叢書 1) (新なにわ塾叢書 1)
森 晴樹,村上 知彦,春岡 勇二,ガンジー 石原,山口 由美子,小堀 純
ブレーンセンター

このアイテムの詳細を見る