碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

NHK「だんだん」の収拾

2009年03月02日 | メディアでのコメント・論評

NHK「だんだん」について、『週刊新潮』から取材を受けた。

「だんだん」は今月いっぱいで終わるわけだが、ほんと、これから残りの期間で、どう収拾をつけるつもりだろう。

元々は、「運命の再会を果たした双子の姉妹が、歌手を目指して成長していく物語」だったはずだ。

それが、今では、一人は祇園に舞い戻り、もう一人は松江に帰って介護福祉士やら看護士やらの修行をしている。っていうか、まんま元に戻ってしまった。

現実には、介護福祉士も看護士も、本気でその仕事を目指して頑張っている人たちがたくさんいる。ドラマの筋とはいっても、出たり入ったり、軽々しく扱うのはおかしい。

ついでに、レコード会社のプロデューサーだった石橋クンも、「やはりボクは医者になる」とか何とか言って、今では研修医だ。医者ってのも、そんなに簡単に戻れるんかい?

こうなると、彼らの、あの「歌」へのこだわりや、「プロの歌手」という仕事の意味は一体何だったんだろう、と思ってしまう。

まさか、青春のひとコマ?

だとすれば、音楽のセンスというか、歌の能力というか、その方面はまったく素人以下のマナカナの二人が、無理やり演じて、歌っていた下手な歌を、何ヶ月もずっと聴かされてきた視聴者はどうすればいいのか。

「ある女性が、ある職業を目指して、紆余曲折がありながらも、頑張っていく」という朝ドラもパターンも、いろんな角度から再検討する時期なのかもしれない。

これまでに、たいていの職業は描いてきて、最近は、ヒップホップダンサーだの、懐メロ専門の双子デュオだの、視聴者にとっては「何やらようわからん」ものが続いている。女流落語家あたりがギリだったかもしれない。

4月からの朝ドラ「つばさ」で、多部未華子サンが目指すのは「老舗の和菓子屋の跡継ぎ」だという。和菓子職人なら「あすか」がそうだったけど、今度はどんな展開になるのか。

脚本が戸田山雅司さんだから大丈夫かもしれないが、果たして、どうなるんだろう。

だんだん―連続テレビ小説 (NHKドラマ・ガイド)
森脇 京子
日本放送出版協会

このアイテムの詳細を見る