碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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映画『ヤッターマン』は世紀の怪作か!?

2009年03月10日 | 映画・ビデオ・映像

うーん、参ったなあ。ほんと、参った。

映画『ヤッターマン』のことだ。

アニメは毎週テレビで見ていたし、ドロンジョ様の大ファンだし、『ゼブラーマン』の三池崇史監督だし、これは行かなきゃ、ってんで映画館へ。

観ました。

でも、でもですねえ、困ったわけです。

どーにも弾まない。わくわくしない。こんなはずじゃなかったんだけど。

アニメには忠実なのだ。

おなじみのキャラ、メカ、フレーズ、ギャグも、きっちり“実写”している。それは「ご苦労さまです」と言いたくなるくらい。

それなのに・・・。

ドロンジョの深田恭子サンも、例のボンデージ・ファッションでしっかりキメて、頑張っている。でも、もっと弾けてもよかったよね。

ヤッターマン1号・2号は、桜井翔クンと福田沙紀チャン。

桜井クンは27歳とも思えぬ若々しさ(?)で、また、沙紀チャンは何も考えていなさそうな(実際は知らないけど)横広がりの笑顔で、それぞれ楽しそうに演じていた。

楽しくないのは観客ばかりかも。

いつもアニメでやっていたドロンボー一味による歌やダンスも、映画で再現されている。でも、「ワンコーラスで十分です」とお願いしたくなった。

さて、この事態、一体なぜだろう。

脚本が悪かったのかなあ。映画は脚本だもんなあ。

その意味では、もっとテレビアニメから逸脱してもよかったんじゃないか、とも思う。

しかし、美術はすごかった。これは賞賛に値する。

破壊された渋谷ならぬ「渋山」の街。武富士じゃなくて「山富士」、109じゃなくて「107」の看板。ハチ公じゃなくて「ハッチ(タツノコプロだもん)公」の像。もっとじっくり見たかった。

ヤッターマンの基地である地下ガレージも雰囲気だ。部屋の隅々まで、くすっと笑えるアイテムが所狭しと並べてある。

そして、衣装。

特に、あのボンデージ着用の深田恭子サン。マニアは、ひたすら拍手だろう。ただし、何もしないで立っているときが一番美しかった。

スポーツ紙には「7、8日の2日間で約38万5000人を動員、興行収入4億5000万円を突破し、週末の映画興行成績で1位を獲得」とあった。興行収入も50億円を目指しているそうだ。

ホンマかいな? 

ワタクシが観た映画館では、決して多くない観客のうち、上映中に、少なくとも3人が“途中退席”した。出て行っちゃった。最近では珍しい光景だ。

確かに、久しぶりで「退屈」とか「眠気」という文字が正面から襲ってきたが、必死で戦った。

1800円の料金は惜しくない。でも、正直言って、時間はちょっと惜しかった(笑)。

映画のエンドロールの後で、「次回予告編」が流れて、またびっくり。

え~、続編あり、だったの? 

大丈夫、なんでしょうか。

とはいえ、<世紀の怪作>を、劇場で身銭を切って観たことは、これはこれで“得がたい経験”。頭の中に、しっかりインプットしておこう。

ポチッと、な。


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