碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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NHK朝ドラ『つばさ』の”いい感じ”

2009年03月31日 | テレビ・ラジオ・メディア
NHKの朝ドラ『つばさ』が、いい感じだ。

まだ2日しか付き合っていないのに、「甘玉堂」の玉木一家が好きになっている。

川越の、和菓子の老舗「甘玉堂」。

女将は吉行和子さん。自分の娘(高畑淳子)と職人頭(中村梅雀)を結婚させ、跡継ぎとした。二人の孫(多部未華子・冨浦智嗣)もいる。

フツーなら、何の変哲もない和菓子屋一家なんだけど、次の女将であるはずの高畑淳子さんが、クセ者というか変わっているのだ。

10年前に(理由はまだ分からないが)家出して、しかも、川越祭りの頃になるとひょっこり帰って来るという。

帰ってくれば、必ず騒動が起きるらしい。

でも、つばさの父・梅雀さんは、そんな高畑さんを許しているようだし、帰ってくると嬉しそうだ。この梅雀さんがいいねえ。

そして、ヒロインの多部未華子さん。

ちょっと古風な雰囲気がいい。昭和を感じさせる少女。「鹿男あおによし」の女子高生・堀田イトも印象的だった。

多部さんの演技力は心配ないので、安心して見ていられる。他のキャストも大丈夫だし。

後は、戸田山雅司さんの脚本、ストーリーなわけだが、ユーモアの質やバランスも巧みで、いい感じになっている。

今日の2回目。甘玉堂の作業場で、職人たちに混じって、つばさや弟が働いている。みんな白い作業着だ。

突然、つばさが「気のせいかもしれないけど、8人いるような・・・」と言う。本来7人で仕事をしているはずなのだ。私も、思わず画面の中の人数を数える。あ、1人多い・・・。

結局、これは母である高畑さんが帰ってきていて、潜り込んでいたんだけど、分かっていても笑ってしまう。どこか、向田邦子さん描く『寺内貫太郎一家』を思わすユーモア。

いいねえ。

それと、家出しながら、祭りが近くなると帰ってきて、騒動を起こす高畑淳子さん。

これも勝手な連想だけど、ふと『男はつらいよ』と重なった。

「とらや」も老舗のお団子屋さんだ。そして、寅さんが、ふらっと柴又に帰ってくることで“騒ぎ”が起きるのだ。

でも、妹のさくらはもちろん、おいちゃんも、おばちゃんも、口では「困ったもんだ」と言いつつ、いつも寅さんの帰りを待っているではないか。

ということで、<『つばさ』=『寺内貫太郎一家』×『男はつらいよ』>説の誕生だ(笑)。