碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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テレビ愛知「やらせ問題」で新展開

2009年03月26日 | テレビ・ラジオ・メディア
今年1月に発覚したテレビ愛知「やらせ問題」で、新たな展開があった。

昨日になって、「制作責任者である同社の担当プロデューサーが放送前にやらせの事実を認識していたこと」が明らかになったのだ。

トホホである。

しかも、「やらせ」を実行した制作会社が、収録後、局のプロデューサーに説明したが、この局Pは、映像を確認した上で「大した問題でないと思った」そうだ。

トホホの2乗。

さらに、「やらせ」発覚後、このプロデューサーは調査委員会に対して「常務に報告した」と語り、その常務は「記憶がない」と突っぱねる。

食い違いどころか、これでは、社内のどこかで“事実の隠蔽”が行われていたと思われても仕方がない。

いやはや、なんとも。

1月31日のこのブログで、私は次のように書いた。
http://blog.goo.ne.jp/kapalua227/e/57e079bbffdcec2a71cdbe3b1ec89cae


最初、テレビ愛知は自社サイトで「収録当日、予定時間内にインタビュー相手を確保できなかったため、制作会社が本人たちの了解を得て、出演させた」と説明。いかにも制作会社の責任、というニュアンスだった。

ところが、すぐに前言を翻す。「収録現場に、社員もいた」と言い出したのだ。目の前で行われている初歩的(低レベル)な<やらせ>を、いわば黙認していたわけだ。

<やらせ>にもレベルはあるのだ。制作会社の人間も、局の人間も、揃いもそろって・・・。

凋落、陥落の烙印を押され始めたテレビ界だが、それを後押しするような出来事だといえる。

「没落しつつあるから、その程度の人材」なのか、「その程度の人材だから、没落していく」のか。うーん、本当に情けない。


テレビ愛知の「やらせ」。日本テレビの「虚偽証言報道」。

地滑り的な崩れ方というか、底が抜け始めたというか、テレビ界自身が自らの基盤を壊そうとしているかのようだ。これを“自壊”という。