碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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『日刊ゲンダイ』でフジのフィギュア放送についてコメント

2011年05月07日 | メディアでのコメント・論評

6日、大学で「現代文化としてのスポーツ」という授業。

これは外部講師を含む、複数の教員がリレー方式で行うものだ。

私の担当は2回連続の「スポーツとマスメディア」である。

この授業の中で、人気スポーツの独占放送は、テレビ局にとっての“キラー・コンテンツ”であり、大きな利益につながる、といった説明をした。

まさしく、その辺りに関わる記事が『日刊ゲンダイ』に掲載され、私もコメントしています。


フジテレビ 世界フィギュア放送に非難囂々
開催国・ロシアの日本応援演出をカット


GW中、もっとも多くの人が見た番組が4月30日の「世界フィギュアスケート2011女子フリー」だ。

ビデオリサーチの調べによれば、関東地区の平均視聴率は29・3%、次いで「女子SP」が27・8%と、放送したフジテレビは視聴率で他局に大きく水をあけた。

そのフジテレビの放送姿勢に多くの批判が寄せられている。

もともと今回のフィギュアスケート世界選手権は、3月下旬に東京で開催される予定だった。代替開催のロシアは震災の日本に配慮。

日本のゴールデンタイムに合わせたプログラムを組み、開会式やフィナーレでは氷上に日の丸を映し、ロシアからのメッセージ「日本にささげる詩」も披露された。

だが、独占中継していたフジテレビの地上肢は、こうした演出をまったく紹介しなかった。

「ロシアが日本のために演出を考えていたことをフジテレビが知っていたとすれば、リアルタイムでなくても放送する努力をすべきです。

”こんなことがありました”くらいなら時間も掛からない」(立教大教授の服部孝章氏=メディア法)

また、5月1日のエキシビションは、前日のリプレーやキム・ヨナの特集で引っ張った上、演技順序を入れ替えて放送。

裏番組の人気ドラマ「JIN-仁-」にぶつけるように日本選手のエキシビションを流したのだ。

あまりのあざとさにネットは「あれもこれもフジテレビはカットしやがって」「フジで見てたのでこんなん全然知らなかった」と大騒ぎだ。

「テレビ全体の収益が落ち込んでいる中で、特定の”お客”が必ず見込めるスポーツイベントはおいしい商品。

中でもフィギュアスケートはキラーコンテンツで、CMスポンサーに高く売れます。

それはウィリアム王子の世紀の結婚中継よりも、安藤美姫のスケート中継の方が視聴率が高かったことからも明らか。

当然ながら裏番組のことは念頭にあったでしょう。

でも、不要な演出で時間を延ばしてまで『JIN』にぶつけたのだとしたら、フジテレビの編成は大人げない」(上智大教授・碓井広義氏=メディア論)


フジテレビは「担当者が不在で事実関係が確認できません」(広報部)とコメントしたが、大事なのは視聴率だけではないはずだ。

(日刊ゲンダイ 2011.05.06)