碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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目が離せないぞ、ドラマ「鈴木先生」

2011年05月10日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

『日刊ゲンダイ』に連載している番組時評「テレビとはナンだ!」。

今週は、テレビ東京のドラマ「鈴木先生」(月曜夜10時)について書いています。


長谷川博己演じる中学教師のキャラが際立つ「鈴木先生」


テレビ東京「鈴木先生」は今期連ドラの中で目が離せない1本だ。

まず、NHK「セカンドバージン」で鈴木京香と共演して話題になった、長谷川博己が演じる中学教師のキャラが際立っている。

教育熱心といえば非常に熱心。いつも生徒のことを考えているし、観察眼も鋭い。

しかし、それは教室を自分の教育理論の実験場だと思っているからであり、単なる熱血教師とは異なる。

たとえば担任クラスの男子生徒が小4の女の子と性交渉をもってしまう。レイプだと怒鳴りこんでくる母親。

鈴木はこの生徒と徹底的に話し合う。

そして、たとえ合意の上でも、自分たちが「周囲に秘密がバレる程度の精神年齢」であることを自覚していなかったのは罪だ、と気づかせるのだ。

いや、これで解決かどうかは賛否があるだろう。

ただこのドラマの真骨頂は、鈴木が思いを巡らすそのプロセスを視聴者に見せていくことにある。

“心の声”としてのナレーションはもちろん、思考過程におけるキーワードが文字としても表示されるのだ。いわば頭の中の実況中継である。

しかもその中継には生徒である美少女・土屋太凰(つちやたお)との“あらぬ関係”といった妄想さえ含まれる。

教師も人間であり男であるわけだが、この時点で「中学生日記」や「3年B組金八先生」との差別化は明白だ。

原作漫画(武富健治)の画調はやや暑苦しいが、ドラマは映画風処理を施された映像が心地良い。

(日刊ゲンダイ 2011.05.09)


・・・・このドラマ、脇役陣も楽しめる。

鈴木先生の同僚役で、ぐっさんこと山口智充、田畑智子、それから富田靖子も出ている。

富田靖子は映画『アイコ16歳』から見ている女優さんだ。

もっとドラマに出てきてもいいと思っていたので、結構なことです。