『日刊ゲンダイ』に連載中の番組時評「テレビとはナンだ!」。
今週、取り上げたのは、TBS「世紀のワイドショー!ザ・今夜はヒストリー」だ。
日本人の歴史好きを当て込んで、何匹目のドジョウかもわからない歴史バラエティだが、どうにも成功してるようには見えません。
「今夜はヒストリー」は羊頭狗肉
オリジナリティーもない
TBSが「関口宏の東京フレンドパーク」の後枠で始めた「世紀のワイドショー!ザ・今夜はヒストリー」。
そのコンセプトは「歴史上の大事件が起きたある一日にタイムスリップした、テレビ界初の時空超越系ワイドショー」という大胆なものだ。
しかし、実態は残念な羊頭狗肉と言わざるを得ない。
まず歴史とワイドショーを結びつけたのは伊丹十三が出演した「万延元年のテレビワイドショー」(テレビ東京・1976年)が最初だ。
もしも万延元年(1860年)にテレビが存在したらという設定で、幕末の経済問題をワイドショー形式で見せていた。
また歴史の現場にタイムスリップしてレポートするのは、NHK「タイムスクープハンター」のスタイルだ。
再現ドラマの中の過去の人物にインタビューする手法は、終戦秘話を描いた「欧州から愛をこめて」(日本テレビ・75年)をはじめ、現在のNHK「歴史秘話ヒストリア」でも使われている。
さらに「歴史上のある一日」にスポットを当てる発想は、まんまNHK「その時歴史が動いた」である。
他の番組の成果を取り入れるなら、それを踏まえてどれだけのオリジナリティを生み出せるかどうかが重要だ。
番組でもっとも印象に残るのが、「みのもんたの朝スバッ!」(TBS)を思わせる<業界最大級ボード>に貼られた紙をベリベリと剥がす司会者の姿では情けない。
(日刊ゲンダイ 2011.05.30)
・・・・それにしてもTBS、何がどうあろうと、関口宏さんは切れないんだねえ(笑)。
いや、切らせない関口さんのほうが、何枚も上手ですごいのか。