私は本を購入する際、アマゾンをとても便利に使わせてもらっているが、それはそれ、これはこれで、“リアル書店”抜きにブックライフは成り立たない。
たとえば、昨日。
新千歳空港行きの列車を待つ間、札幌駅の弘栄堂書店に入った。
雑誌を眺め、単行本をチェックし、新書を見て、文庫の棚をゆっくりと回る。
すると、不思議なことに、「ほら、ここにいるよ」とか、「待ってたよ」という“本の声”がどこからか聞こえてくるのだ(笑)。
ふと気がつけば、店に入るまではまったく買う予定もなかった文庫本を、しっかり手にとっていたりする。
本は必要があって買うだけではない。
“無用の用”みたいなものがあって、その本に手を伸ばすのは、自分の意識下に何か感応するものがあるわけです。
すぐに読むかどうか、読めるかどうかは、わからない。
でも、その時の自分は、その本のページをめくりたいと思った。
即興買い、アドリブ買いというか、出会い系購入というか(笑)、こういう買い方ができるのは、リアル書店の大きな楽しみだ。
結局、弘栄堂のレジに差し出したのは4冊。
今週、井上ひさしさんの「黄金の騎士団」をとても面白く読み終わったせいか、「井上ひさしと141人の作文教室」(新潮文庫)。
これまた先日、伊集院静さんの「いねむり先生」を読んだためだろう。先生のモデルである色川武大さんが書いた「うらおもて人生録」(新潮文庫)。
そして齋藤孝さんの「ドストエフスキーの人間力」(新潮文庫)は、単行本の時に買いそこなっていたものだ。
最後は三枝龍生さんの「体は何でも知っている」(ちくま文庫)だ。ずっと以前にお会いした時は、まだ三枝誠を名乗っていたっけ。
というわけで、札幌で偶然出会った本たちを抱えて、ほくほくしながらホームへと向かったのでした。
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