碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
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テレビ東京「シロウト名鑑」の知恵としゃれっ気

2011年06月14日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評

『日刊ゲンダイ』連載中の番組時評「テレビとはナンだ!」。

今週は、テレビ東京の深夜バラエティ「シロウト名鑑」を取り上げました。


知恵もしゃれっ気もある
テレ東の低予算番組「シロウト名鑑」


昨今、番組制作費は減る一方だ。

元々他局より少ない予算のテレビ東京も例外ではない。

ならば低予算を嘆くより、いっそ逆手に取ろうという作り手たちの遊び心が、深夜バラエティ「シロウト名鑑」(金曜放送)を生みだした。

タレントを出せば金がかかる。だから素人がメイン。

だが、素人を面白く見せるには知恵と技が必要。

そこで「池袋ウエストゲートパーク」「木更津キャッツアイ」の人気脚本家・宮藤官九郎と、放送作家の細川徹を進行役とした。

番組構成もできる出演者、実にリーズナブルではないか。

またテーマ設定のゆるさがこの番組の身上だ。

見た目と歌声のギャップを味わう「巣鴨でスーザン・ボイルを探せ!」。

人気子役・芦田愛菜ちゃんにあやかった「スーパー子役を探せ!」。

いきなり「ルパン3世を探せ!」なんてのもあった。

そして先週が「赤羽でAKB48を探せ!」だ。

町をぶらぶら歩いて出会った、キャバクラのお姉さんや居酒屋の呼び込みの女の子を勝手にスカウト。

“本家”の前田敦子と大島優子の壮絶な戦いをよそに、「じゃあ、この娘をセンターで」などと適当に配置していくのが笑える。

しかもこれを「AKB48総選挙」の開票翌日に放送するしゃれっ気と批評性も買いだ。

「低予算・隙間狙い・アイデア勝負」というテレビ東京のお家芸をしっかり体現した1本である。

(日刊ゲンダイ 2011.06.13)


・・・・以前、宮藤官九郎さんと仕事をしたことがある。

「噂の探偵QAZ(カズ)」という深夜ドラマをプロデュースした際、若き日の官九郎さんに、役者として出てもらったのだ。

この時、主人公の探偵が今は亡き古尾谷雅人さんで、官九郎さんは、悪役である“謎の総帥X(エックス)”の手下。

そのXを演じたのが、なんとプロデューサーである私なのでした(笑)。