『日刊ゲンダイ』に連載中の番組時評「テレビとはナンだ!」。
今回は、TBS「奇跡ゲッター ブットバース!!」を取り上げました。
売れない芸人の月収をネタにして
何が面白いのか
土曜夜8時といえばかつてはゴールデンタイムの王様だった。
とくにTBSは「8時だヨ!全員集合」というお化け番組を擁して、長年この王座に君臨したものだ。
現在は「奇跡ゲッター ブットバース!!」を放送中。
スタート時は「これは奇跡だ!という人物や現象をお届けする」とのフレコミだったが、今やほとんど迷走状態だ。
先週の「芸人どん底月収ベストテン~夫を支える芸人いい妻NO.1決定戦」もひどかった。
もっとも低かった月収を「どん底月収」と名付け、ランキング形式で当の芸人とその妻を紹介していくのだ。
芸人で収入が低いのは売れていないからで、視聴者は名前も顔も知らない芸人ばかりを見せられることになる。
第3位は「くらげライダー」の松丘慎吾で、どん底月収9800円。
第2位のラジバンダリ西井は7500円。
そして第1位が元「R(ろっこつ)マニア」の松丘慎吾で、スバリ0円。
だが、これのどこを笑えというのだろう。
ちなみに司会はネプチューンだが、彼らは立派な収入を得ているはず。
また、この番組のプロデューサー氏の父親はTBSの朝番組を仕切るみのもんたで、ギャラが高額なことで有名。
そういうスタッフや出演者が、売れない芸人はそんなものだとして、低収入ぶりを笑いのネタにしている。そのセンスが情けない。
土曜8時が泣いている。
(日刊ゲンダイ 2011.06.19)
・・・・“土曜8時が泣いている”と書いたが、まさに実感。
それこそテレビの、というか電波の使い方として、いかがなものか。
時節柄(?)、「見せるべきものがないなら節電のためにお休みしたら」と言われた際も、反論が難しいような1本でした。